雑誌付録からμSDXまで、SDRはどのように盛り上がってきたのか:注目デバイスで組み込み開発をアップグレード(4)(2/3 ページ)
注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。第4回のテーマはSDR(ソフトウェア無線)。SDRの第1世代ともいえるソフトウェアラジオの登場から第4世の「μSDX」に至るまで、筆者独自の視点に基づく“SDR史観”を語っていく。
第2世代:RTL-SDR
RTL-SDRは、PCのUSBコネクターに接続して電波を受信するドングルです。そもそもこのドングルは海外のワンセグチューナーとして用いられるものでしたが、SDR#などの複合ソフトウェアと組み合わせてオールモードの広帯域受信機として流用されるようになりました。「RTL2832u」というRealtek SemiconductorのICが搭載されていれば、一般的にRTL-SDRと呼ばれているようです。
これに加えてドングル内にはチューナーICが搭載されていますが、各社各様のICが載っているようです。このICによって感度や受信範囲が多少異なってきます。
ただし、この状態ではほとんどの場合30MHz以上が受信範囲であり、先述のソフトウェアラジオで利用できたアマチュア無線で広く利用されているHF帯を受信できません。このことを残念に思った有志がいわゆる“アップコンバーター”を自作しており、HF帯も受信できるようにした事例が多々あります。
ここでRTL-SDRの回路構成を説明しましょう。大まかに分けると、チューナー、A-Dコンバーター、USBインタフェースの構成になります。チューナーでは、アンテナから入ってきたRF信号をいったん28MHzに変換します。そこからA-Dコンバーターで一気にデジタル信号に量子化します。その後USBインタフェースを経由してPCにデジタル信号が送られます。RTL2832uは、A-DコンバーターとUSBインタフェースの機能を担っています。
このRTL-SDRの特徴は何と言っても低価格と入手のしやすさですかね。中国の通販サイトであれば送料込みで10米ドル以下で入手できるものもあります。ただし、アンテナ端子の仕様が各社さまざまであり、利用者が用意できるアンテナのケーブルに合わせて、変換コネクターや変換ケーブルを用意しなければならないのはなかなか大変なところです。
通販サイトの写真だけでは分かりづらいことも多く、現物を見ずにこれらのコネクターの変換系の部材を購入するのには勇気が必要です。筆者は地方在住なので通販サイトを利用することが多いのですが、秋葉原などにすぐに行ける人たちは、現物を見て、あるいは現物合わせをしてから商品を購入できるのでうらやましいですね。
連載第2回記事で、本来のアンテナコネクターにSMAコネクターをじかにロウ付けしていたのにはそんな事情もあります。
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