シグナルジェネレータ「Si5351A」をデジタル変調器として使ってみる:注目デバイスで組み込み開発をアップグレード(2)(1/4 ページ)
注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。第2回は、シグナルジェネレータ「Si5351A」をデジタル変調器として活用できるかを試してみる。
はじめに
今回は電波を出すデバイス、シグナルジェネレータの「Si5351A」をハックしてみます。このデバイスを使った記事はよくネットで見掛けるようになりましたが、これをデジタル変調器として使ってみようと思います。なお、電波を扱いますので、電波法を順守し空間に電波を出さないようシールドされたケーブル間の伝搬のみで実験を行っています。
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「Si5351A」の紹介
図1はSi5351A搭載モジュールの写真です。
Si5351Aが動作するために必要な周辺部品が基板上に収められています。筆者が購入した通販サイトでは、2タイプから選べました。1つは、モジュール基板本体とDIPピッチのピンヘッダが付属しており、もう1つはSMAメスコネクターが3つ付属しています。実際に利用する場合には、ピンヘッダやコネクターは自分ではんだ付けする必要があります。
今回の実験では図1の左側の基板を用いました。付属するピンヘッダは本来基板のピンホールに通してはんだ付けします。図1の右側に示すように、ピンヘッダは基板に対して垂直な配置となります。今回は図1の左側のようにピンヘッダが基板に対して水平になるようはんだ付けを行いました。これは、ブレッドボードのスペースを有効に使えるように、基板がブレッドボードに対して縦に刺さるようにするためです。ただし、抜き差しの際はんだ付けした部分が剥離しやすいなどのデメリットもあるので、読者の判断で試してみてください。
さてSi5351Aの中身を見てみましょう。図2はDigi-Keyの「SILICON LABS Si5351A/B/C-B detasheet」から引用したブロックダイヤグラムです。
図2を見てお分かりの通り3つの出力が可能ですが、今回はCLK0だけを使いました。入力のXAとXBには水晶発振子を接続しますが、本モジュールには25MHzの水晶発振子が搭載されています。また今回はPLL Aのみ使っています。電源電圧は3.3〜5Vで使用可能ですが、この後で「Raspberry Pi(以下、ラズパイ)」とI2Cで接続するので3.3Vにします。出力できる周波数範囲は、今回のモジュールに搭載された周辺部品の構成では8k〜160MHzとなっています。なお、Si5351A単独ではもう少し広い周波数範囲になっています。後はデータシートを見ていただくか、ネットの情報を参考にしてみてください。
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