1DAYコンタクトの高効率な廃プラリサイクルを実現した「米の選別機」:製造業×脱炭素 インタビュー(2/3 ページ)
便利な一方で廃プラスチックの問題が懸念される使い捨てコンタクトレンズ。現在、多くのコンタクトレンズメーカーが環境負荷低減に向けて取り組みを進めている。本記事では廃プラスチックの高効率な再資源化のシステムを構築した、シードの取り組みを紹介したい。
純度ほぼ100%のPPに
ドックスの大まかな仕組みは次の通りだ。まず、脱水した粉砕品を投入口にまとめて入れる。粉砕品はコンベヤーで攪拌層に運ばれ、比重分離を行い、PP片とアルミニウムとコンタクトレンズをある程度分離する。この工程をもう一度繰り返し、細かなアルミニウム片も逃さず分離する。その後、脱水工程で分離工程で含んだ水分を乾燥させる。
ただし、比重分離だけではプラスチックとアルミニウムを完全に分けることは難しい。プラスチック片だけなら水に沈むが、アルミニウム片が付着すると一緒に水に浮いてしまうためだ。
この対策として次工程で、光学式選別機を使い、アルミニウム片の付いたPP片などNG品を正確に特定して選別する仕組みを設けている。光学式選別機は2台使用して、PP片の陰に隠れたアルミニウム片など、処理速度の問題で1台目だけでは取り切れなかった分もしっかりとより分ける。その後、PP片を溶かし、メッシュに通すことで最終的に不純物を除去する。これによってPPの純度をほぼ100%にしている。
ダイトクの工場に搬入された粉砕品の内、約7〜8割は高品質なPPとして生まれ変わる。アルミニウムなどが含まれるNG品も、出荷時の品質(グレード)は下がるものの他企業に販売される。さらにアルミニウム片は有価物として、コンタクトレンズ片は固形燃料などにするサーマルリサイクルへと回す。ドックスにより、月当たり50〜60トンの粉砕品が処理できる。シードにとっては、従来、産業廃棄物として処理していたごみを年間で約700〜800トン、有価物として処理できるようになるといったメリットがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.