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HP Labsがあらためて示す3Dプリンティング技術の可能性とその方向性HP Japan INNOVATION SUMMIT

日本HPは、HPの研究機関であるHP Labsをはじめとする最新のイノベーションを紹介するイベント「HP Japan INNOVATION SUMMIT」を開催。「HP Lasのイノベーション」に関するセッションでは、同社の3Dプリンティング/デジタルマニュファクチャリングに関する考えや方向性について、最新の取り組みなどを交えて紹介した。

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 日本HPは2022年7月15日、HPの研究機関であるHP Labsをはじめとする最新のイノベーションを紹介するイベント「HP Japan INNOVATION SUMMIT」をリアル/オンラインのハイブリッドで開催した。

 「HP Labsのイノベーション」に関するセッションでは、HP Global Head of 3D and Digital Manufacturing Lab. HP LabsのLihua Zhao(リーファ・ジャオ)氏が、同社の3Dプリンティング/デジタルマニュファクチャリングに関する考えや方向性について、最新の取り組みなどを交えて紹介した。

HP Global Head of 3D and Digital Manufacturing Lab. HP LabsのLihua Zhao(リーファ・ジャオ)氏
HP Global Head of 3D and Digital Manufacturing Lab. HP LabsのLihua Zhao(リーファ・ジャオ)氏

重要性が増す3Dプリンティング/デジタルマニュファクチャリング活用

 3Dプリンタを取り巻く環境や顧客ニーズの変化について、ジャオ氏は「3Dプリンティング/デジタルマニュファクチャリングが、マスパーソナライゼーションの実現を後押しし、破壊的イノベーションの創出をもたらす。そうした動きは、高度にパーソナライズされたウェルネス分野で顕著に見られ、大きな成長分野の1つとして捉えている」と説明する。

 同社の3Dプリンティングテクノロジー「HP Multi Jet Fusion」を活用した具体的な取り組みとして、効率性とカスタマイズ性を両立させた義肢装具の開発および提供を可能にするデジタル義肢装具ソリューションの実現や、歯科矯正におけるパーソナライズされた歯型の大量生産の仕組みの構築などを例に挙げる。また製造業、特に自動車業界での導入先企業として、日産自動車、トヨタ自動車を紹介した。

日産自動車トヨタ自動車 (左)日産自動車/(右)トヨタ自動車における採用事例[クリックで拡大] 出所:日本HP

 さらに、企業がパーソナライズされた製品需要に応えていくためには、より持続可能な製品とパッケージングの提供が求められるとし、現在HPでは、いくつかのブランドと連携し、食品、飲料、乳製品、化粧品向けのソリューションの展開も進めているという。また、こうした活動を通じて、年間1億5000万t(トン)以上生産されている使い捨てプラスチックの使用量を削減し、「100%生分解される繊維ベース材料を用いたパッケージに置き換えることを目指していく」(ジャオ氏)としている。

 3Dプリンティングの有用性に関しては、コロナ禍に代表されるパンデミックへの対処だけでなく、サプライチェーンリスクから企業を守るための手段になり得るとし、ジャオ氏は「高度な3Dプリンティングソリューションは、サプライチェーンの変革を加速させ、堅牢(けんろう)で、効率的かつ柔軟なサプライチェーンの構築に役立つ」と説明する。

 また、こうした動きとともに、3Dプリンティングによる新たな価値提供の実現を目的とするエコシステムやアライアンスの重要性が増し、そうした活動が、実際に自動車、消費財、ヘルスケアなどの産業領域で定着し始めているという。

 最近の取り組みとして、ジャオ氏は、HPと化粧品メーカーのロレアルとの協業を紹介した。ロレアルは、生産の柔軟性を高め、新しいパッケージングと顧客体験を創造し、消費者の購買活動の変化に対応するため、HPのパートナーエコシステム「デジタルマニュファクチャリングネットワーク」をグローバルサプライチェーン全体で活用。これにより、必要な時に、必要な数を、必要な場所で、効率的に生産できる体制を整備し、自社が掲げるサステナビリティ目標の達成につなげようとしている。

パーソナライゼーションとサステナビリティの双方を実現するカギに

 3Dプリンティング/デジタルマニュファクチャリングの将来性や今後の位置付けについて、ジャオ氏は「あらゆる企業や産業が、今後、パーソナライゼーションとサステナビリティの両方を担保しながらモノづくりに取り組んでいく中で、3Dプリンティングとデジタルマニュファクチャリングはその中心に位置する存在といえる」との考えを示す。

 また、金属によるアディティブマニュファクチャリングが今後大きく伸びていくとし、「HP独自のサーマルインクジェット技術を採用する『HP Metal Jet』は大量生産から、真にユニークな高付加価値製品の製造まで幅広く活用できる。HPのモジュラーシステムと統合したワークフローは、生産性の向上、部品コストの削減、優れた品質を実現すると確信している」とジャオ氏は述べる。

 HP Metal Jetを活用した最新事例として、フォルクスワーゲンが「Tロック カブリオレ」のAピラー(フロントピラー)をHP Metal Jetで製造し、約50%の軽量化を実現するとともに、衝突試験の認証を取得したことを紹介。「自動車業界は性能/品質要求が特に厳しい。そんな自動車メーカーがHP Metal Jetで製造した構造部品を採用したのは今回が初めてだ」(ジャオ氏)という。

 HPでは、引き続きHP Metal Jetの実用化に向けて、パートナーや顧客とともに量産適用などの検証を進めつつ、2023年初旬(日本市場向けはそれ以降)の一般提供開始を目指すとしている。

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