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コロナ禍に続き原材料価格の高騰が新たな課題に、データが映す製造業の現状ものづくり白書2022を読み解く(1)(2/6 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2022年版ものづくり白書」が2021年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2022年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第1回ではCOVID-19の影響を受けた製造業のサプライチェーン強靭化に向けた取り組みの現状を確認し、原材料価格の高騰という新たな課題が浮上している状況をデータで読み解く。

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営業利益は過去10年で最多に

 2020年の営業利益は製造業全体で約8.6兆円となり、過去10年で金額が最も大きかった2017年の約半分にまで減少した。だが、2021年には製造業全体で約18.0兆円にまで回復し、2017年を上回った(図4)。特に自動車・同附属品製造業やその他の輸送用機械器具製造業を集約した「輸送用機械器具製造業(集約)」「情報通信機械器具製造業」が伸びをみせた。


図4:営業利益の推移(製造業業種別)[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

 中小、小規模事業者も含めた直近1年間の売上高と営業利益については、2020年度の調査では約7割の事業者で売上高、営業利益とも減少傾向がみられたが、2021年度の調査では、売上高は約5割、営業利益は約4割が「増加」「やや増加」の動向となっており、半数近くの事業者で回復に転じた(図5、6)。


(左)図5:業績の動向(売上高)、(右)図6:業績の動向(営業利益)[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

 売上高の増減に影響を与える大きな要因としては、販売数量の増減が挙げられている(図7、8)。営業利益の増減については、売上原価やコストの増減が関わっており、特に営業利益の減少については、売上原価の上昇が大きな要因となっている(図9、10)。


(左)図7:売上高の増加要因、(右)図8:売上高の減少要因[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

(左)図9:営業利益の増加要因、(右)図10:営業利益の減少要因[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

今後3年間の営業利益も増加する見込み

 2021年における輸出額の業種別の割合をみると、輸送用機器、一般機器、電気機器などの割合が大きく、製造業が日本の輸出額の多くを占めている(図11)。貿易収支は2018年と2019年は赤字だったが、2020年は食料品、原料品及び鉱物性燃料の赤字幅の縮小や、化学製品及び電気機器の黒字幅の拡大により、収支総額としては黒字回復している(図12)。また、今後3年間の国内外の売上高や営業利益も、約半数の企業で増加する見込みとなっている(図13〜16)。


図11:輸出額の業種別割合[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

図12:貿易収支の推移[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

(右)図13:今後3年間の見通し(国内売上高)(左)図14:今後3年間の見通し(国内営業利益)[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

(左)図15:今後3年間の見通し(海外売上高)(右)図16:今後3年間の見通し(海外営業利益)[クリックして拡大] 出所:2022年版ものづくり白書

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