安定的で経済的な発電計画をAIが立案、グリッドと四国電力がシステム開発:製造ITニュース(1/2 ページ)
グリッドは2022年6月23日、デジタルツイン、AI最適化開発プラットフォーム「ReNom Power」を活用して、四国電力と開発を進める電力需給計画立案システムを、同年7月から運用開始すると発表した。電力需要予測や電力市場の価格といった各種変動量を考慮しつつ、特定の条件下で利益を最大化し得る発電計画の作成を自動で行う。
グリッドは2022年6月23日、デジタルツイン、AI(人工知能)最適化開発プラットフォーム「ReNom Power」を活用して、四国電力と開発を進める電力需給計画立案システムを、同年7月から運用開始すると発表した。電力需要予測や電力市場の価格といった各種変動量を考慮しつつ、特定の条件下で利益を最大化し得る発電計画の作成を自動で行う。
個人による発電計画立案から脱却
今回発表した電力需給計画立案システムは、仮想空間上に作成した発電所のシミュレーションモデルと、将来の電力需要や市場価格、気象情報などの予測データに基づいて電力需給計画の最適化を行うAIを連携させたものをベースとしている。複雑な発電計画の計算を自動化するとともに、計画立案に要する計算時間も減らせる。また複数のシナリオを比較検討した上で、期待収益を最大限高める発電計画の採用を可能にした。
一般的に電力会社は、安定的かつ安価に電気を供給することを目指す。このため、電力需給運用計画業務を遂行する際には、どの発電機でどの程度発電するか、といった発電計画の策定が重要になる。自社の発電機による発電コストと卸電力市場での電力価格を比較して、卸市場の電力価格が安い場合は卸市場から電力を調達し、市場の電力価格の方が高い場合は発電した電力を卸市場に売る。
これまで四国電力は同業務において、発電機など設備の制約条件や電力需要、卸電力市場価格、再生可能エネルギーの発電量といった各種変動量の情報を手動で入力して、それを基に個人が発電計画を立案していた。計画の実行結果も個人が経験則として蓄積していくため、属人性が強い傾向にあった。
このため計画策定業務は、1週間の計画を策定するのに約5〜6時間かかる、属人性の強さから後継者育成が難しい、といった課題を抱えていた。また、そもそも計画業務は、突然の天候変化や突発的事象など想定外の事態も生じ得るため、どのような計画が最善なのかが不透明であるという問題も存在したという。さらに昨今、電力取引市場の多様化に伴い計画策定業務はさらに複雑化しており、業務に要する時間を増大させる要因ともなっている。
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