非線形に入る前に、線形有限要素法について復習しておく:いまさら聞けない 非線形構造解析入門(2)(4/5 ページ)
多くの3D CADではオプションとしてCAE機能が用意されているが、多くの方が「線形解析」での利用にとどまっており、「非線形解析」にまで踏み出せていない現状がある。本連載では、構造解析でも特に非線形解析にフォーカスし、初心者向けに分かりやすくその特長や活用メリットなどを紹介する。連載第2回では「非線形」の話題に入る前に、あらためて「線形有限要素法」について確認する。
3.全体剛性マトリクスの構築
全体剛性マトリクスは、簡単にいえば“各要素の剛性を足し合わせる”ことで構築できます。
例えば、先ほどの2次元四辺形1次要素において、2要素のモデルの場合には、以下の2つの剛性マトリクスが存在します。
この2つのマトリクスを合成して、全体剛性マトリクスを構築し、変位ベクトル、荷重ベクトルとともに表現すると、以下のような式になります。
ここで、0の箇所は両方の要素からの“寄与がない”部分、足し算で表現されている箇所は両方の要素からの“寄与がある”部分となります。
4.境界条件の適用
これで問題を解く準備がほぼできましたが、まだ少し情報が足りていません。その情報というのが「境界条件」です。境界条件は、多くの解析ソフトのユーザーインタフェース上で「拘束条件」や「荷重条件」と表現されていると思います。
図5のように左辺の2節点を拘束し、右辺の2節点をある任意の荷重fで載荷することを考えるとき、これらの数値を式に組み込むと式20のようになります。なお、この際、荷重が載荷されていない(外力がかかっていない)節点の自由度に対しては、0を代入します。
この後に、変位を0とした箇所が寄与する行列を削除します。それによって、未知数の数と式の数が合うようになります。ただし、一般的に多くの商用ソフトでは、そのような教科書的な処理ではなく、別の形で処理していることが多いようです(詳しくは割愛します)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.