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アズビルがDXプロジェクトで実感した、クラウドMES導入で大事な3つの勘所製造IT導入事例(1/2 ページ)

PTCジャパンは2022年6月17日〜30日にかけて、オンラインイベント「PTC Virtual Forum 2022」をオンラインで開催中だ。その中でアズビルが、PLMやERPなどのシステムに加えてクラウドMESを導入した、同社グループのDX事例を紹介した。

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 PTCジャパンは2022年6月17日〜30日にかけて、オンラインイベント「PTC Virtual Forum 2022」をオンラインで開催中だ。その中でアズビル アドバイザー(DX 関連)の新井弘志氏が、PLMやERPなどのシステムに加えてクラウドMESを導入した、同社グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)事例を紹介した。

ERP導入は「Fit to Standard」を意識


アズビルの新井弘志氏

 新井氏は以前のアズビルグループにおける業務システム運用の歴史を振り返り、「部分最適化のための効率化を進めてきたため、社内にシステムが乱立してしまい、硬直化してしまった」と問題点について説明した。そこで、改革のためのプロジェクトを立ち上げたが、この際に、開発や設計支援を行うPLM、ERP、人事給与などのシステムは自社独自の強みを出す部分ではないとして、業務パッケージ製品の標準機能で対応する方針にしたという。

 例えば、PLMにはPTCのソフトウェア製品である「Windchill」を採用した。導入に際して開発業務改革プロジェクト「ACES(Azbil Common Engineering System)」を立ち上げ、設計開発領域における企画構築から構造設計、詳細設計、BOM(部品表)生成、図面管理などを対象に改革を進めた。同社が展開する5事業部門で個別管理を行っていた知識を一元化するとともに、設計/開発部門の連携促進によるフロントローディングの実現を目指した。


「ACES」のプロジェクト範囲[クリックして拡大] 出所:アズビル、PTCジャパン

 パッケージ製品の導入に当たっては、システムに合わせた業務標準化である「Fit to Standard」を意識した。「1業務1プロセス1システム」を基本に、システムだけでなくデータベース、製品マスターを一本化して、運用方式の統一も行った。システムのグローバル対応も進めたという。

MESは自社の強みを生かす領域

 一方で、自社独自の競争力を発揮するために、パッケージ製品ではどうしても対応しきれないシステム領域もある。その1つがMESだ。アズビルでは、20年前に同社がスクラッチ開発したMESを改修しながら長く使い続けてきた。しかし、そのためにシステムの部分最適化が進み、システムの属人化やブラックボックス化、データのサイロ化が進んでしまうなどの弊害も生じたという。そのため、グローバル環境の変化や事業環境に対して迅速に対応することが難しくなっていた。


MESの部分は自社の強みを生かす[クリックして拡大] 出所:アズビル、PTCジャパン

 新井氏は「組み立て製造業向けのMESパッケージ製品を探したものの、適したものは見当たらなかった。頻繁に起こる生産ラインの改造、業務変更への対応をシステムパラメーター変更で吸収することが大事だと考えた」と語る。そこで、アズビルが手掛けていた医薬品や食品製品向けのMESパッケージ販売に関わったメンバーを集め、開発プロジェクトを立ち上げた。


MES開発の狙い[クリックして拡大] 出所:アズビル、PTCジャパン
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