専門医の知見とテクノロジーの融合で治療のハードルを下げる歯科矯正サービス:歯科医療分野での3Dプリンタ活用事例(3/3 ページ)
3Dプリンタ活用が進む歯科医療の現場において、マウスピース歯科矯正サービス「hanaravi」を展開するDRIPS。同社は歯科矯正の専門知識とテクノロジーの融合によって、患者が抱く歯科矯正へのハードルを下げ、効率的かつ治療効果の高いマウスピース歯科矯正の実現に取り組む。その狙いやサービスの特長について、同社 CEOで医師の各務康貴氏に話を聞いた。
ヤマト運輸との協業でサービス強化、提携医院も2年後に10倍へ
そして、現在、hanaraviのサービスを主に製造/配送の面で強力にバックアップしているのがヤマト運輸だ。両社は2022年5月18日に、ヤマトグループの国内ネットワーク上に設置した3Dプリンタを活用した歯科矯正用マウスピースの製造/配送サービスの開始を発表している。
現在、ヤマト運輸が羽田クロノゲート内に導入している3Dプリンタとともに、hanaraviの歯科矯正用マウスピースの製造に必要な機材を配備した製造体制を構築。これにより、患者の治療進捗(しんちょく)に沿ったサービス提供を実現し、治療期間の短縮や治療計画の変更により生じるマウスピースの廃棄の削減などにつなげていく考えだ。
「現状、羽田クロノゲート内にある3Dプリンタ(1台)であれば、11時間で約400個の歯型を造形できる。1日で2バッチ回したとすると約800個の歯型を作れる計算だ。また、マウスピースを製造するための各工程が機械化されているため、今後のサービス拡大や利用者数の増加によって、ボトルネックとなる工程が生じても、そこに対して機器を増強すればボトルネックをすぐに解消できる。これは機械化の大きなメリットの1つだ」(各務氏)
hanaraviのこれまでの累計利用者数は非公表とのことだが、現時点で問い合わせだけでも1万5000件を超える勢いだという。そのため、「今後はさらに提携歯科医院の数を増やし、2年後には現在の10倍の30拠点とし、より多くの患者を受け入れることを目指す」(各務氏)。さらに、新たな予防の仕組みづくりとして、各務氏は「現在取り組んでいる歯科矯正を通じた予防を切り口に、予防に取り組むモデルを構築し、将来的には予防領域全体へとサービスを拡張していきたい」と展望を述べる。
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