ヤマト運輸とDRIPSがマウスピースによる歯科矯正に革新、3Dプリンタ活用で:3Dプリンタニュース
ヤマト運輸とDRIPSは、ヤマトグループの国内ネットワーク上に設置した3Dプリンタを活用した歯科矯正用マウスピースの製造/配送サービスを2022年5月18日から開始した。患者の治療進捗に沿ったサービス提供による治療期間の短縮、治療計画の変更により生じるマウスピースの廃棄の削減などを実現し、日本の歯科矯正に対して新たな価値を提案する。
ヤマト運輸とDRIPSは2022年5月18日、ヤマトグループの国内ネットワーク上に設置した3Dプリンタを活用した歯科矯正用マウスピースの製造/配送サービスを開始したことを発表した。
2019年に矯正専門の歯科医院と提携し、マウスピース歯科矯正サービス「hanaravi」を展開してきたDRIPSと、2017年に羽田クロノゲートに3Dプリンタを導入し、手術用治具や医療分野の試作品などの製造、配送を行ってきたヤマト運輸が協業し、国内において高品質かつ安定した歯科矯正用マウスピースの製造体制を構築。これにより、患者の治療進捗(しんちょく)に沿ったサービス提供による治療期間の短縮、治療計画の変更により生じるマウスピースの廃棄の削減などを実現し、日本の歯科矯正に対して新たな価値を提案する。
歯科矯正用マウスピースのオンデマンドカスタマイズ生産を実現
ヤマト運輸は、今回の協業のために、歯型造形用データから3Dプリンタの造形に適したデータへ自動補正するツールを新規開発。3Dプリンタによる製造から最終製品の仕上げ加工までの全工程を機械化することで、「国内初」(プレスリリース)をうたう歯科矯正用マウスピースのオンデマンドカスタマイズ生産を可能にした。
従来のワイヤーによる歯科矯正と比較し、安価で目立ちにくいことから、近年、マウスピースによる歯科矯正のニーズが拡大しているという。マウスピースによる歯科矯正は、一般的に1〜2週間ごとにマウスピースを交換して歯列を少しずつ動かすため、患者1人当たり20〜30段階の異なる歯型模型が必要となる。また、マウスピースの形状も患者ごとに異なることから大量生産が難しく、人件費の安価な海外の歯科技工所に依頼し、矯正開始から完了までを一括製造して輸入するケースが多い。
両社の協業によって、患者は治療進捗に合わせた適切な歯科矯正用マウスピースをスピーディーに受け取ることが可能となり、多数のマウスピースの自己管理や着け間違えといったトラブル、作り直しに起因する治療期間の延長などを回避でき、治療途中での断念防止につなげられる。また、個人の歯列の動きに合った歯科矯正用マウスピースを、より短期間で受け取り、交換できるため、矯正をより短い期間で完了させられるといったメリットが得られる。
マウスピース歯科矯正サービス(hanaravi)の提供を通じ、さまざまな知見を獲得してきたDRIPSは、スピーディーなマウスピース交換の実現によって、治療期間の短縮と患者への負担軽減が実現できるとの考えから、製造体制の強化と機械化を含むマスカスタマイゼーションの実現方法を模索していた。今回のヤマト運輸との協業により、3Dプリンタを用いた歯科矯正用マウスピースのオンデマンドカスタマイズ生産が可能となり、治療進捗に応じた適切なマウスピースをスピーディーに患者に届けられるようになる。
身体全体の予防領域へサービスを拡張、順次3Dプリンタを増設
今後、DRIPSは提携医院数を増やし、より多くの患者の受け入れを目指すとしている。また、将来的には、歯科領域から身体全体の予防領域へとサービスを拡張してく考えを示すとともに、OEMによる製造受け入れも行う予定だとする。
一方、ヤマト運輸は、羽田クロノゲートに続き、全国にあるヤマト運輸の主要拠点に順次3Dプリンタを増設し、患者に近い拠点で製造することで、よりスピーディーなサービス提供を目指す。さらに、3Dプリンタを活用したモノづくりから新しい運び方にチャレンジし、設計開発領域から製造、配送まで一貫したソリューションを提供することで、多品種少量生産、オンデマンド製造といったデジタル製造ニーズへの対応、型レス製造による製造コスト低減、将来に向けたアディティブマニュファクチャリングの強化などを推進するメーカーの製造プロセス/サプライチェーン変革に貢献するとしている。
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