パナソニックの新型電池4680セルは「全て計画通り」、2023年度に和歌山で量産:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
パナソニック エナジーが2022〜2024年度の中期経営戦略を説明。テスラ向けに開発を進めている新型リチウムイオン電池セル「4680」は既に製品化のめどが立っており、2023年度中に和歌山工場で量産を始めて北米市場への供給をスタートさせる方針だ。
「全て計画通り進捗している」
この将来に向けた設備投資として計画しているのが、和歌山工場における4680セルの開発と量産である。2021年度中に原型開発が完了し、2022年度から始めている製品開発についても既にめどは立っている。2022年5月末には量産検証に向けたパイロットラインが稼働しており、顧客向けのサンプル納入を開始している。これらと並行して進めている和歌山工場の建屋改装と設備制作が完了する2023年度には、4680セルの量産を始められる計画だ。只信氏は「全て計画通り進捗している」と強調する。
4680セルでは、高信頼と高性能の両立に向けた新技術と新工法を開発した。テスラや他サプライヤーに対する技術優位性についても「北米市場に累計で100億セル以上、EV170万台以上に相当する円筒型リチウムイオン電池を供給し、リコールなど重大問題の発生がないという実績の他、これまで展開してきた1865セル、2170セルも電池容量などを常に進化させてきた。顧客との共同開発を進める中で、ゴールに向けた共通意識を持って技術開発を進めている」と説明する。
和歌山工場の量産では、グローバルオペレーションを前提としたモノづくり/生産システムを確立し、1865セル、2170セルの経験も生かして、北米市場での生産を早期に立ち上げられるようにする。また、材料高騰の一因になっているアジアを中心とした原材料調達についても、将来的に現地調達率を50%以上に高めて対応したい考えだ。
これら4680セルの開発と量産が計画通り進捗してることを前提に、北米のEV市場における競争力を維持していく上で必要な円筒型リチウムイオン電池の容量ベースの生産能力について、2025年度に2022年度比で約2倍、2028年度に約3〜4倍が必要になるという見通しを示した。「高容量という強みが生き、事業基盤もある北米市場に注力する。実績ある2170セルの拡販に加えて、4680セルの事業化先行により事業基盤をさらに強化する」(只信氏)。2170セルついては、北米のスタートアップ企業などからの多くの引き合いがあり、テスラ以外の顧客への拡販を進める方針。一方の4680セルは、戦略パートナーとするテスラ向けへの供給を優先することになる。
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