ニュース
IBMは最大数十万量子ビットの量子コンピューティング実現目指す:量子コンピュータ
IBMは、大規模かつ実用的な量子コンピューティングの実現に向け、新たな開発ロードマップを公開した。量子システムの量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するため、個々が接続可能なモジュール式アーキテクチャの開発を計画する。
IBMは2022年5月10日(現地時間)、大規模かつ実用的な量子コンピューティングを実現するため、新たな開発ロードマップを公開した。今後、4000ビット超のシステム提供を計画する。
新しいロードマップでは、量子システムの量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するため、個々が接続可能なモジュール式アーキテクチャの開発を計画している。そのために、3つの拡張技術の開発に取り組む。
その1つ目として、複数のプロセッサ間で、古典領域での通信と並列処理する機能を構築する。従来の計算リソースとサイズ拡張可能な量子プロセッサを組み合わせることで、実用的な量子システムに必要な技術へとつなげる。
2つ目に、短距離のチップ間接続を導入する。複数のチップを緊密に接続し、単一の大規模なプロセッサを効率的に形成することで、スケーリングで重要な基本的なモジュール性を導入する。
3つ目は、量子プロセッサ間の量子通信リンクの提供だ。これを実現するため、より大きな量子システムにクラスタを接続するための量子通信リンクを提案する。
これらの技術開発により、2025年に目標とする、複数クラスタで構成された4000量子ビット以上のプロセッサの実現を目指していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 量子コンピューティングは製造業でも活用進む、その可能性と現実
次世代のコンピューティング技術として注目を集める「量子コンピュータ」。製造業にとっての量子コンピュータの可能性について、ザイナス イノベーション事業部 部長で量子計算コンサルタントの畔上文昭氏に、製造業での量子コンピューティング技術の活用動向と現実について話を聞いた。 - 国内量子コンピュータの市場調査結果を発表、2030年度に2940億円規模に
矢野経済研究所は、国内量子コンピュータ市場に関する調査結果と将来予測を発表した。市場規模は、2021年度は139億4000万円の見込みで、将来的には2025年度に550億円、2030年度に2940億円に達すると予測する。 - その名も「kawasaki」、国内初のゲート型商用量子コンピュータが稼働
東京大学とIBMは、日本初導入となるゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」が稼働を開始したと発表。設置場所は「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター」で、東京大学が設立した量子イノベーションイニシアティブ協議会に参加する慶應義塾大学や、日本IBMを含めた企業11社を中心に活用を進めることになる。 - 数年後に古典コンピュータを超える量子コンピュータ、IBMは事業化に舵を切る
日本IBMが量子コンピュータに関する取り組みの最新状況について説明。IBMが1970年代から研究を続けてきた量子コンピュータの現在の開発状況や、日本での事業展開、今後の実用化に向けた取り組みなどについて紹介するとともに、「量子コンピュータの事業化が既に始まっている」ことなどを訴えた。 - 国内11社が量子技術応用の協議会を設立へ「産業応用でも世界をリードする」
量子技術による社会構造変革を目指す民間企業11社は、業界の垣根を越えて量子技術を応用した新産業の創出を図るための協議会である「量子技術による新産業創出協議会」の設立に向けた発起人会を開催。今後は2021年7〜8月の協議会設立に向けて、より多くの企業の参加を目指して具体的な準備を進めていく方針である。