PLMでコンプライアンス対応(2):自動車業界のトレーサビリティ強化策:DX時代のPLM/BOM導入(6)(1/2 ページ)
本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第6回は自動車業界の法改正や欧米の品質規格と、PLMによる対応、特に変更管理とプロジェクト管理のポイントを解説する。
今回と次回で、自動車業界の法改正や欧米の品質規格と、PLMによる対応、特に変更管理とプロジェクト管理のポイントを解説していきたいと思います。
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メガリコールと法改正
図表1は国土交通省が発表した自動車リコールの件数と台数の推移です。平成26年(2014年)からリコール対象台数が急増していることが分かります。この現象はメガリコールと呼ばれ、自動車メーカーや車種を横断して、部品やモジュールの共通化が進展したことが要因とされています。
この対策としてリコールに関する法令改正がなされました。道路運送車両法の改正です。従来自動車メーカーが対象であった報告義務や立ち入り検査が部品メーカーにも拡大されたのです※1。
※1:参考文献:「部品メーカーも強制調査対象に 改正道路運送車両法が成立」2015.6.17,日本経済新聞,夕刊3面
そしてこの時期、自動車部品メーカーは一斉にトレーサビリティー強化やグローバルPLMの導入を開始しました。こうした動きは法令改正と関連付けて考えることができるでしょう。
IATF16949における変更管理に関する要求
道路運送車両法の改正と同時期に、「IATF16949」という国際的な自動車の品質規格が制定されました。IATFとは「International Automotive Task Force」の略で、国際自動車産業特別委員会のことです。
IATF16949には図表2に示す通り、変更管理に関する要求が含まれます。前半部は変更に関する文書化プロセス、後半部は製造工程および供給者(部品サプライヤー)をスコープに入れることを明示しています。IATF16949が示す変更管理は設計変更だけでなく、製造工程やサプライヤーの変更も含まれていることが分かります。
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