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標的α線治療のコア原料である放射性核種を治験薬製造スケールで製造:医療機器ニュース
日本メジフィジックスは、小型加速器を用いて、新しいがん治療として期待されるTATのコア原料であるアクチニウム225を、治験薬原料にできる品質と試験薬製造スケールで製造することに成功した。
日本メジフィジックスは2022年4月5日、治験薬原料に利用できる品質のアクチニウム225を、自社の創薬拠点において、小型加速器を用いてギガベクレルスケールで製造することに成功したと発表した。アクチニウム225は、新しいがん治療として期待されるTAT(標的α線治療:Targeted Alpha Therapy)のコア原料だ。
TATは、がん細胞を死滅させるα線を放出する放射性核種を、病巣に選択的に取り込ませることで病巣内部からがん細胞を攻撃する治療法。薬物が標的タンパク質に取り込まれることを確認した上で、放射性核種を治療用核種に変えて治療する概念であるセラノスティクスの一種となる。アクチニウム225を用いたTAT療法は、2016年に転移性前立腺がん患者に対して治療効果があることが報告されており、世界で臨床研究が進められている。
アクチニウム225は天然には存在しないため、各社が製造開発に取り組んでいる。同社は、商業的に広く利用されている小型加速器を用いて、ラジウム226からアクチニウム225を製造する技術を開発した。
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