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銀ナノ粒子でウイルスを不活性化、曲げられる透明ヒーターを開発:組み込み開発ニュース
ダイセルは、通電1分で表面温度が約60℃まで上昇し、温度を維持する「曲げられる透明ヒーター」を開発した。銀ナノ粒子を使用するため、短時間で効果的な抗菌、抗ウイルス作用が期待できる。
ダイセルは2022年3月30日、通電1分で表面温度が約60℃まで上昇し、温度を維持する「曲げられる透明ヒーター」を開発した。銀ナノ粒子を使用するため、抗菌、抗ウイルス作用が期待できる。飲食店の飛沫拡散防止板のほか、窓ガラスの曇り止め、結露防止、融雪にも利用できる。
プラスチックシート内部に銀熱線を埋め込んだ構造を採用しており、通電1分で表面温度が60℃まで上昇して安定し、電気を遮断すると1分で40℃以下に下がる。使用したのは低抵抗の銀熱線で、同社の銀ナノ粒子インク「Picosil」を低温かつ短時間で焼結処理して作製している。そのPicosilを厚み100μm以上の高アスペクト比の配線にする技術を、河村産業と共同で開発して応答性を確保した。
ヒーター表面にインフルエンザウイルスを付着させた評価では、通電30分後に99%以上が不活性化し、60分後には検出されなかった。今後、新型コロナウイルスに対しても同様の評価をする予定だ。
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