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音振動とは? 現象もモデリング方法も多種多様、まずは振動の基本から学ぶ1Dモデリングの勘所(6)(1/4 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。今回(連載第6回)と次回で「音振動」のモデリングを扱う。今回は、振動に着目することにし、最も身近な振動現象を提供している“振り子”を例に振動の基本を学ぶ。続いて、振動の「1Dモデリング」の最も一般的な方法である「MCKモデリング」とその解法について紹介する。最後に、MCKモデルを用いた自励振動問題を扱う。

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 今回と次回の2回で「音振動」のモデリングを扱う。

 最初に、音振動とは何かについて種々の側面から解説する。今回は、振動に着目することにし、最も身近な振動現象を提供している“振り子”を例に振動の基本を学ぶ。続いて、振動の「1Dモデリング」の最も一般的な方法である「MCKモデリング」とその解法について紹介する。最後に、MCKモデルを用いた自励振動問題を扱う。

⇒連載バックナンバーはこちら

音振動とは?

 図1に示すように、一般的に構造物は静的な外力を受けると静的に変形するとともに、その内部には応力が発生し、これが許容値を超えると破壊に至る。これは、いわゆる「材料力学」の領域である。一方、外力が時間的に変動するとき、例えば、モーターのように周期的に変動する場合には、これにより構造物は時間変動を伴って、変形するとともに内部の応力も時間的に変動する。応力が許容値を超えると疲労破壊する。これが「振動」という現象である。

 また、ファンは回転により、周りの空気を周期的に変動させ、空気という媒体に圧力変動をもたらす。この圧力変動の周波数が特定の範囲にあると人は音として感じる。これが「」という現象である。

 多くの場合、構造物の振動が原因となって、空気の励振が生じ、それが音となって聞こえるため、音振動と一括りに表現されることがある。また、大音量で音楽を聞いていると、ガラスコップの水が振動することは皆さんもよくご存じのことと思う。このように、音が原因となって振動することもある。

 いずれにせよ、“振動と音は切っても切れない関係にある”ということだ。図1では簡単に「入力」と記述しているが、入力の源は流体、電磁気など多岐にわたる。この辺りが音振動問題の難しさであり、面白さでもある。

音振動のモデリング
図1 音振動のモデリング[クリックで拡大]

 図2に、音振動がどのように発生しているのかを、ある状況を想定して示す。力の発生源(図では内燃機関)が構造物(弾性体)を加振し、振動を発生させる。この振動は構造物を伝搬し、筐体を振動させる。そして、筐体表面の振動が接した空気を加振し、音を発生させる。一方、冷却用ファンは直接周りの空気を加振し、音を発生させる。音振動のモデリングでは、この音振動の伝達経路に従ってモデリングすることになる。図3に、ある家電製品の音振動の伝達経路を示す。

音振動の実際
図2 音振動の実際[クリックで拡大]
製品の音振動の伝達経路
図3 製品の音振動の伝達経路[クリックで拡大]

 音振動は一般的に“厄介もの”として嫌われ、これらを低減させることに手間を掛けることになる。

 一方、音振動を利用している製品もある。図4に示すスピーカーやマイクロフォンがその例である。電気による力で構造物を振動させ、音に変換しているのがスピーカー、逆に音(音楽、声)で振動を発生させ、電気信号に変換しているのがマイクロフォンである。

音振動の活用例
図4 音振動の活用例[クリックで拡大]

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