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インタビュー

保険会社がなぜロボコンに? 異色の参戦者が語る「自分でつくる」大切さETロボコン(3/4 ページ)

組み込み開発の技術力などを競い合うETロボコン。2021年に開催された同大会には、保険会社という“異色”の企業が参戦した。同社はなぜ、ロボコンに参加したのか。三井住友海上火災保険の担当者に話を聞いた。

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IoT活用の新しい保険などに対応する必要も

MONOist 先ほどETロボコンと保険業界の間で「求められる要素技術は共通している」というお話がありました。具体的に、それらの技術が保険業界で、どのように求められているのでしょうか。

谷口氏 現在、保険業界では、IoT(モノのインターネット)デバイスや他のセンサーから得た大量のデータを処理して、被保険対象者や対象物の状況次第で保険料が変動するといった、新しいビジネスが生まれています。例えば、気象データから天災の発生率を予測したり、海上保険であれば船舶の運航履歴を用いたりすることでリスクを算出するなどです。自動車保険では、自動車に搭載した情報端末から収集したデータに基づき保険料が変動するテレマティクス保険も登場しています。

 また、ずっと先の話になると思いますが、スマートシティーが普及すれば、信号機など街中に設置したカメラやセンサーから大量のデータを取得できるようになると言われています。これらのデータを基にした保険も生まれるかもしれません。この中で、保険業界のIT開発部門に求められる業務も変わってきています。


保険会社のIT開発に求められる役割が変化している[クリックして拡大] 出所:三井住友海上火災保険

MONOist どのように変化しているのですか。

谷口氏 新しいデータを基に、特定状況下での最適解を導き出せるシステムづくりを進めなければなりません。事業環境の移り変わりも速くなり、それに伴い、開発速度も上げざるを得ない。それには開発パートナーの企業に開発依頼を投げるだけでなく、保険会社も一体となって開発体制を構築する必要があります。そのためにも、保険会社側の人間が技術に慣れ親しんでおくということは、長期的に見て大事なのです。

MONOist ETロボコン2021にはどのようなスケジュールで参加したのですか。

谷口氏 2021年の3月〜4月にかけて参加メンバーを募集し、チームを組織しました。実際には、その裏でベースコード開発も同時並行で進めていました。メンバーには、ETロボコン事務局から提供されたオンデマンド教材に加えて、当社独自の教育も提供しています。またベースコードに習熟してもらう期間を設けた上で、実際の走行用ソフトウェア部品の構築と組み立て、モデリングと審査用資料の作成を進めました。


参加までのスケジュール[クリックして拡大] 出所:三井住友海上火災保険

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