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オミクロン株が新車生産に与えた影響を振り返る自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

日系乗用車メーカー8社合計の2022年1月のグローバル生産台数は、前年同月比9.8%減の191万6510台と7カ月連続で前年実績を下回った。東南アジアに端を発した世界的なサプライチェーンの混乱が一段落し、10月、11月と回復基調を示していたものの、年明けからオミクロン株の感染が急速に広まったことで部品調達に支障をきたし、1月は再度マイナス幅が拡大した。

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 サプライチェーンの混乱から着実に回復基調を示していた自動車産業だが、年明け以降、状況が大きく変化している。自動車メーカーの2022年1月の生産台数は、オミクロン株の急速な感染拡大が水を差す格好となった。また、半導体不足が想定以上に長期化していることに加えて、足元では令和4年3月16日福島県沖地震がサプライチェーンへ影響を及ぼすなど、計画通りに挽回生産を進められない事態に陥っている。

 さらにロシアによるウクライナ侵攻を受けて、自動車メーカー各社はロシアでの生産停止を余儀なくされている。ウクライナ侵攻は、ロシアへの経済制裁やレアメタルをはじめとした素材調達の影響など、自動車産業に対したさまざまなインパクトをもたらす可能性も秘めている。自動車メーカー各社は世界情勢の動向を注視しながら、慎重なかじ取りを進めている。

 日系乗用車メーカー8社合計の2022年1月のグローバル生産台数は、前年同月比9.8%減の191万6510台と7カ月連続で前年実績を下回った。東南アジアに端を発した世界的なサプライチェーンの混乱が一段落し、10月、11月と回復基調を示していたものの、年明けからオミクロン株の感染が急速に広まったことで部品調達に支障をきたし、1月は再度マイナス幅が拡大した。特に国内生産への影響が大きく、同20.9%減と大幅な落ち込みを見せた。

2022年1月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 162,640 468,251 133,121 127,967 630,891
▲ 32.2 ▲ 6.7 ▲ 18.1 ▲ 15.5 ▲ 14.9
ホンダ 51,084 307,618 99,172 156,852 358,702
2.7 1.9 ▲ 11.3 15.1 2.0
日産 41,946 257,121 70,855 132,175 299,067
▲ 25.3 ▲ 18.5 ▲ 28.1 ▲ 2.7 ▲ 19.5
スズキ 51,830 188,394 - - 240,224
▲ 33.5 0.6 - - ▲ 9.4
ダイハツ 64,931 63,222 - - 128,153
▲ 19.6 34.1 - - 0.2
マツダ 70,548 33,891 13,501 15,878 104,439
▲ 2.0 ▲ 13.6 2.3 ▲ 26.2 ▲ 6.1
三菱自 33,498 56,846 - 3,909 90,344
▲ 12.9 8.7 - ▲ 44.1 ▲ 0.4
スバル 40,128 24,562 24,562 - 64,690
5.5 ▲ 4.0 ▲ 4.0 - 1.7
合計 516,605 1,399,905 341,211 436,781 1,916,510
▲ 20.9 ▲ 4.8 ▲ 13.1 ▲ 3.3 ▲ 9.8
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 メーカー別に見ると、トヨタの1月のグローバル生産台数は、前年同月比14.9%減の63万891台と、2カ月ぶりに前年実績を下回った。東南アジア発端のサプライチェーンの混乱から挽回生産を本格化したことで12月には過去最高のグローバル生産まで回復したが、オミクロン株の感染拡大に水を差された格好だ。特に国内生産は、同32.2%減の16万2640台と急ブレーキがかかり、2カ月ぶりの前年割れ。仕入れ先で感染拡大が広がり部品調達に支障をきたしたことで、国内工場では度重なる稼働停止を余儀なくされた。

 海外生産は、前年同月比6.7%減の46万8251台と3カ月ぶりのマイナス。地域別では、主力市場の北米が同18.1%減と7カ月連続で前年実績を下回った。部品供給の逼迫(ひっぱく)に加えてオミクロン株による感染拡大で、マイナス幅は12月より5.6ポイント広がった。ただ、メキシコは同11.7%増と回復基調を示している。中国も部品供給の影響が続いていることや、感染拡大を受けて中国政府がロックダウンなどの厳しい措置を講じたため、同15.5%減と3カ月ぶりにマイナスへ転じた。

 一方、インドネシアは前年のロックダウンに対する反動増と政府の需要喚起策により前年同月比73.6%増と大幅に伸長した他、タイも同20.3%増と回復した。その結果、アジアトータルでは同4.0%減となった。

 そのような状況下でも、1月の海外販売は前年同月比0.6%増と微増を確保。1月として過去最高を記録するなど、需要自体は旺盛であることが伺える。このためトヨタでは2022年上期にかけて高水準の挽回生産を計画。ところが、オミクロン株の感染拡大や、半導体不足の長期化、ウクライナ情勢、さらに宮城・福島沖地震の発生など、幾つもの減産要因が重なったことで、計画を下方修正せざるを得ない事態となっている。

ダイハツ

 グループ会社のダイハツ工業もオミクロン株の影響を大きく受けた。1月の国内生産は、前年同月比19.6%減の6万4931台と3カ月ぶりのマイナス。仕入れ先での感染拡大により部品調達に支障をきたした他、自社工場でも感染が広がり、国内の各工場で複数回の稼働停止を余儀なくされた。

 一方、海外生産は好調で、前年同月比34.1%増の6万3222台と6カ月連続のプラス。8社で最大の増加幅となった。インドネシアが前年のロックダウンによる低迷に対する反動増が続いている他、マレーシアも高い伸びを示した。好調な海外が国内での減産をカバーした結果、1月のグローバル生産台数は、前年同月比0.2%増の12万8153台とわずかながらもプラスを確保し、3カ月連続の増加となった。

日産

 日産も半導体不足の影響が続いている。1月のグローバル生産は、前年同月比19.5%減の29万9067台と7カ月連続で前年実績を下回った。減少幅は12月より4.1ポイント改善しているが、8社の中では最も大きなマイナスとなった。

 このうち海外生産は前年同月比18.5%減の25万7121台と7カ月連続の減少で、8社では最大のマイナス。減少幅は12月から0.9ポイント改善した。主要地域全てがマイナスとなり、米国が同16.7%減、メキシコが同36.1%減、英国が同34.7%減と大きく下落した。最大市場の中国は同2.7%減で、10カ月連続のマイナスとなった。

 国内生産も落ち込みが目立つ。前年同月比25.3%減の4万1946台と5カ月連続のマイナスだった。減少幅は12月より23.1ポイント改善したが、厳しい状況は続いている。これを受けて輸出も同42.8%減と大きく減少した。中でも台数ボリュームの多い「ローグ」が減少した北米向けが同45.4%減と低迷した。

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