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機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない生産性向上のもう一つのキモは、設備管理の徹底にあり(3)(2/4 ページ)

工場の自動化が進む中でより重要性を増している「設備管理」について解説する本連載。第3回は、機械設備の故障と信頼性について解説する。

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(1)初期故障期間

 初期故障(initial(or early)failure)とは、機械設備の使用開始直後の比較的早い時期、つまり稼働当初の設計や製作上のミスや材料の欠陥、運用上の不具合、あるいは機械設備の使用環境や生産工程に起因する初期段階のその機械設備固有の故障のことを言います。この期間の故障は時間経過とともに減少していきます。

 対策としては、試運転の実施に併せて初期流動管理を行い、この機械設備の弱点を早期に洗い出し、運転特性を安定させて早期に故障の低減を図っていくことが大切です。また、同じ失敗を繰り返さないように設備設計部門あるいは機械設備の仕様作成部門に発生した不具合の詳細内容をフィードバックしていくことが大切です。

(2)偶発故障期間

 偶発故障(chance(or random)failure)とは、初期故障期間を過ぎて摩耗故障期間までに偶発的に起きる故障のことをいいます。一般的に、故障が限定的なモードであって、初期故障期間で取り除くことができなかった原因によって偶発的に発生する故障のことをいいます。この期間では設備が安定状態にありますので、一般的に低い故障率が継続します。

 故障の発生が落ち着いてくる時期なので、主として運転操作のミスや設計上の強度を超える応力が突然掛かったり、保全活動を怠ったりすることによって、コントロールができない予知が不可能な故障が発生します。対策としては、正しい操作を心掛け、日常の保全をしっかりと実施していくことが大切です。

(3)摩耗故障期間

 摩耗故障(wear out failure)とは、機械設備の老朽化現象である機械的な疲労や摩耗などによって発生する故障をいいます。時間とともに故障率が高くなってくる故障のことで、機械設備が老朽化して摩耗や疲労、化学的な腐食、経時的な材質や機構上の不具合の変化などが起因して起こる故障を指し、機械設備の一部分が寿命に至っており故障が増加する傾向にあるため、機械設備の更新が検討される時期ともいえます。

 対策としては、改良保全や予防保全を行って設備の寿命を延ばすことと、老朽部品の事前取替えによって突発故障を防ぐことが大切です。

2.2 機械設備の信頼性評価指標

 機械設備のライフサイクルにおいて、故障発生率が変化したり保全効果を確認したりする上で、機械設備の信頼性の評価はとても重要です。信頼性の評価には、主として次の指標が活用されています。「信頼度」「平均寿命」「有効寿命」は機械設備の耐久性、「保全度」は保全性、「利用度」は耐久性と保全性の評価指標といえます。

  1. 信頼度(Reliability)
    規定の機能を故障なく遂行する確率
  2. 保全度(Maintainability)
    故障発生後、規定の時間内に修復が完了する確率
  3. 利用度(Availability)
    機械設備の運転を開始(利用)しようとした瞬間に満足な機能を維持している(利用可能であった)確率や時間で、定常状態では稼働率に等しい
  4. 故障率(Failure rate)
    ある時刻まで作動し続けた機械設備が、次の単位時間間隔で故障を起こす確率
  5. 平均寿命(Mean life time)
    MTBF(Mean Time Between Failures)、MTTF(Mean Time to Failure)など、故障を起こすまでの平均時間の長さ
  6. 有効寿命(Useful life)
    故障率が規定値以下の動作時間の長さ
  7. アップタイム(Up time)
    設備がその機能を果たし得る状態にある時間
  8. ダウンタイム(Down time)
    設備がその機能を果たし得る状態にない時間

2.3 機械設備のライフサイクルに基づく3つの故障パターンに見る生産保全

 前項の2.1項で説明した、「初期故障期間」「偶発故障期間」「摩耗故障期間」での故障パターンは生産保全と密接な関連があります。前項でも少し触れましたが、主として次のような対策を行っていかなければなりません。

  1. 初期故障期間
    できるだけ検査回数を多くして故障原因を発見し、収集したその情報を設計部門や製造部門へ速やかにフィードバックしていく
  2. 偶発故障期間
    清掃や注油、小整備などの日常保全を習慣として行って、故障率を低く抑える努力を積み重ねて、劣化の速度を遅らせて有効寿命を延ばす
  3. 摩耗故障期間
    予防保全や、さらには改良保全の実施に当たって、故障率の増加傾向を減少させることや、保全に費やす費用の削減効果など、経済性の観点も考慮に入れて実行を試みる

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