日本HPが3Dプリンティング事業の好調さアピール、金属の国内展開は慎重に準備:3Dプリンタニュース(1/2 ページ)
日本HPは、報道関係者向け事業説明会をオンラインで開催。2021年11月1日に同社 代表取締役 社長執行役員に就任した岡戸伸樹氏が日本市場における事業戦略を説明。3Dプリンティング事業も注力領域の1つに掲げ、国内での活用事例などを紹介し、その優位性をアピールした。
日本HPは2022年1月20日、報道関係者向け事業説明会をオンラインで開催。2021年11月1日に同社 代表取締役 社長執行役員に就任した岡戸伸樹氏は「2022年は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と共存しながらハイブリッドワークやデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速していく変化の年だと感じている。だからこそ、大胆な施策を打ち、リスクをとって、果敢にチャレンジしていきたい。日本HPの社長として“第2の創業”と思い、新しい日本HPを作り上げていきたい」と意気込みを語り、日本市場での今後の事業戦略について説明した。
HPの好業績を支える5つの成長分野
まず、2021年のHP全体、ワールドワイドの業績について、岡戸氏は「売上が対前年比で12.1%増の約7.3兆円となり、PC事業、プリンティング事業ともに売上が2桁成長を達成した。また、利益についても対前年比42%増の約6600億円と非常に高い成長を遂げることができた」と説明。そして、この好調をけん引した成長分野として、「ゲーミング」「ペリフェラル(周辺機器)」「ワークフォースソリューション」「(プリンタ用インクの)個人向けサブスクリプション」「デジタル印刷&3Dプリンティング」の5つを挙げ、「2022年もこれら5つの成長分野に注力していく」(岡戸氏)という。
また、HPの売上の7割を占めるPC市場の見通しについても、今後のさらなる成長が期待できるとみている。「コロナ禍を経てPCは必需品となり、将来的には1人1台へと普及率が高まり、使用頻度が増えることで買い換えサイクルも短縮。その動きは『Windows 11』への乗り換えでも加速していくだろう。今後数年間は3%程度の安定成長で推移し、2024年にはPC市場は64兆円規模になる見通しだ。日本のPC市場においても顧客ニーズをしっかりと把握し、ベストな顧客体験を提供していくことで成長につなげていきたい」(岡戸氏)。
日本HPが注力する3Dプリンティング事業
続いて、岡戸氏は日本HPの注力事業について、プレミアム体験と付加価値を提供するパーソナルシステムズ事業、業界のデジタル化を加速するプリンティング事業の2つをピックアップ。パーソナルシステムズ事業に分類される「ハイブリッドワーク」と「ゲーミング」、プリンティング事業に分類される「デジタルプレス」と「3Dプリンティング」の4つ観点で事業戦略を説明した。なお、本稿では3Dプリンティングにフォーカスした内容をお届けする。
同社の3Dプリンティング事業は、モノづくりの試作から製造までトータルで支援し、製造業全体のデジタル化を推進してきた。4年ほど前から販売開始している「HP Jet Fusionシリーズ」については「2021年9月時点で世界累計1億個のパーツ製造を達成した。また、第三者機関の報告書では、HPの3Dプリンタが『最も費用対効果の高い産業用3Dプリンタ』として紹介されている」(岡戸氏)という。
中でも、現在展開する「HP Jet Fusion 5200シリーズ」は優れた造形品質と高い生産性が好評だとし、2021年には後処理を自動化する装置「Automatic Unpacking Station」が追加された他、関連するソフトウェアソリューションも進化を遂げ、モニタリング機能や各種パラメータ調整機能などの強化によって、さらなる生産性の向上を実現するとしている。
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