この記事は、2021年12月09日発行の「モノづくり総合版 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
さまざまな領域でAI(人工知能)の活用が広がってきました。最近ではブーム的な盛り上がりが一段落し、AIの持つ弱みを見据えた上での具体的な活用が進んできたように感じています。深層学習をベースとした現在のさまざまなAI技術ですが、なんといってもボトルネックになっているのが「学習」の負担でした。
例えば、製造現場のAI活用でずっと以前から期待されてきたのが「不具合の発見」です。製造工程の不具合はさまざまなパターンがあり、プリント基板実装など一部の固定化された検査を除くと、自動化が難しい領域でした。これをAIを活用して自動化できないかという取り組みが数多くの工場で行われていました。しかし、結果として検証だけで挫折したケースが少なくありません。失敗の要因の1つが「不具合についての学習データが用意できない」というケースです。
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