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2021年度上期の自動車生産は2019年の同時期から2割マイナス、回復まで道半ば自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

半導体不足や東南アジアのロックダウンなどの影響が自動車生産へ大きなダメージを与えている。日系乗用車メーカー8社合計の2021年9月のグローバル生産台数を見ると、三菱自動車以外の7社が前年実績の4分の3以下に落ち込んだ。国内生産に至っては4分の1以下まで減産するメーカーもあるなど、事態が深刻化している。

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トヨタ

 メーカー別に見ると、トヨタの9月単月のグローバル生産は前年同月比39.1%減の51万2765台と、2カ月連続で前年実績を下回った。東南アジアに端を発する部品の供給問題が世界各国の生産活動に影響を及ぼした。ただ、トヨタは9月の減産規模として当初は国内・海外合わせて43万台を見込んでいたが、実際には国内16万台、海外19万台の計35万台まで影響を抑えた。

 内訳は、海外生産が前年同月比29.9%減の37万6015台と2カ月連続で減少。北米は同43.3%減で3カ月連続のマイナス。中国も同42.6%減で2カ月連続のマイナスと、主要市場がそろって大きく台数を落とした。アジアは、インドネシアやフィリピン、マレーシア、台湾などが増加したものの、中国の大幅減に加えて、規模の大きなタイでのマイナス、ベトナムのロックダウンなどがあり、アジアトータルでは同23.8%減と伸び悩んだ。欧州も部品調達難で36.7%減と低迷した。

 さらに厳しいのが国内生産で、前年同月比55.3%減の13万6750台と前年9月の半数以下にとどまり、2カ月連続のマイナス。国内全14工場で稼働停止などの生産調整を実施。その結果、国内販売では「ヤリスクロス」「カローラクロス」「ハリアー」など人気車の納期がグレードによっては6カ月以上に長期化している。輸出も同55.2%減と大幅に減少した。トヨタは10月、11月も大規模な減産を実施しており、通常稼働を予定する12月までしばらく厳しい状況が続く模様だ。

 2021年4〜9月のグローバル生産台数は前年同期比16.6%増の408万1437台と2年ぶりに前年実績を上回った。ただ、2019年4〜9月との比較では1割減らした。グローバル販売は前年同期比21.0%増と増加し、特に海外販売は同24.1%増と4〜9月として過去最高を更新した。コロナ禍からの経済回復に加えて、世界各国で環境規制が強化される中、得意とするハイブリッド車(HEV)が販売をけん引した。

 4〜9月の国内生産は前年同期比10.5%増の139万5274台と2年ぶりのプラス。前年がCOVID-19感染拡大により稼働調整を実施していたことで、4月から7月まで2桁パーセント増の高い水準で前年実績を超えていたが、8月から部品調達難で減少に転じた。半導体不足は6月に一部稼働調整を実施したものの、他社よりも影響を抑えられたことが安定した国内生産を維持できた要因といえそうだ。

 海外生産も4〜9月は前年同期比20.0%増の268万6163台と2年ぶりに増加した。地域別では、主力の北米が同32.4%増の91万5930台と大幅に回復し、3年ぶりにプラスへ転じた。前年がコロナ禍で生産停止を余儀なくされたことに対する反動増で、国別では米国は同41.9%増、カナダは同4.3%増、メキシコは同47.6%増と全ての国で増加した。欧州も前年のロックダウンによる生産停止の反動増で同23.2%増となった。

 アジアは前年同期比4.9%増の123万8591台と3年ぶりのプラス。ただ、国によって状況が異なり、いち早く回復した中国は同13.0%減の75万1917台。中国で生産する日系メーカー5社の中では最も減少幅が小さかったものの前年割れを余儀なくされた。ロックダウンを実施したマレーシアやベトナムもマイナスだった。一方、タイやインドネシア、フィリピン、台湾、インド、パキスタンは前年の反動増で2桁パーセント増と大きな回復を見せた。

日産

 日産自動車の2021年4〜9月のグローバル生産台数は、前年同期比3.0%増の159万1886台と4年ぶりに前年実績を上回った。前年がCOVID-19感染拡大により生産停止などを実施した影響が大きい。ただ、2019年と比較すると3割以上減少しており、半導体不足などによる減産が響いた。

 4〜9月の国内生産は前年同期比25.8%増の21万6262台で4年ぶりのプラス。前年のCOVID-19感染拡大による減産の反動増に加えて、国内向け「ノート」「ノートオーラ」の新型車効果、輸出も北米向け新型「ローグ」がけん引して同60.4%増と大幅に増加した。ただ、半導体不足の影響が大きく、2019年との比較では依然として4割以上少ない実績だ。海外生産は前年同期比0.2%増の137万5624台と微増で、4年ぶりの前年超え。国別では、米国が同17.4%増、メキシコが同29.3%増と大きく台数を伸ばし、ともに5年ぶりにプラスへ転じた。一方で、コロナ禍からの回復が早かった中国は同24.1%減と低迷し、6年ぶりに前年実績を下回った。

 足元では半導体不足の影響が続いている。9月単月のグローバル生産は前年同月比27.9%減の26万1018台と3カ月連続で前年実績を下回った。このうち海外生産は同28.4%減の22万3630台と3カ月連続のマイナス。米国が同6.5%減だったほか、メキシコが同38.9%減、英国が同45.4%減、中国が同34.0%減と大幅減が目立った。好調だった国内生産も同24.5%減の3万7388台と8カ月ぶりにマイナスへ転じた。このため輸出も同18.3%減と低迷した。

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