キックボード開発を通じてプラットフォームの価値を身をもって体験:3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2021(3/3 ページ)
「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2021」の基調講演に、ソリッドワークス・ジャパンの大坪陽介氏が登壇。「リモート設計環境の理想!? SOLIDWORKS×3DEXPERIENCEの設計から製造までを追ってみた!」と題し、SOLIDWORKS Japan User Groupのリーダー9人が実際に取り組んだ、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCEプラットフォームを活用したキックボード開発プロジェクトの模様を紹介した。
「PDC」の流れ
「PDC」については、デザインレビューを中心に、リビジョンを管理しながら設計の完成までどのように進めていったのかを紹介した。例えば、社内のデザインレビューではSOLIDWORKSを使用していないオブザーバーも参加することがある。その際、モデルの寸法測定や構成部品の詳細などを確認できる3DEXPERIENCEプラットフォームのアプリ「3DPlay」を活用。これにより、部品同士のはめ合いや干渉、隙間、現物の測定情報などを共有し、十分に設計内容を検証することができたという。
前述の通り、プロジェクト内で2回のデザインレビューを経て、2人乗り仕様のキックボードアセンブリはプロジェクト内で承認されたわけだが、リビジョンや設計ステータスの管理などには「Collaborative Lifecycle」というアプリがPDMのような機能を果たし、プロジェクトを支援する。ちなみに、リビジョン違いのモデル比較を行うための「Compare」というアプリも用意されており、ジオメトリだけでなく、設計開始日、更新日、注記、版数などの文字、属性情報も一覧比較できる。
そして、クライアントレビューでは、3DSwym上でコミュニケーションをとることになるが、クライアントは3DSpace内のキックボードアセンブリを見ることができないため、「3DXML」ファイルで完成イメージを共有。これにより、拡大/縮小、回転など視点を変えながら直感的に完成イメージを共有できる。
「SOLIDWORKSのデータをひとたび3DEXPERIENCEプラットフォームに載せることで、いろいろなアプリが使えるようになる。中でも重宝するものの1つがPDM機能(Collaborative Lifecycle)だろう。デザインレビューについてもWebブラウザ上で動く3DPlayによって、完成イメージを確実にご覧いただける」(大坪氏)
また、3DEXPERIENCEプラットフォームによってシームレスにデータを共有、連携し、さまざまなアプリで利用できる感覚は「何かソフトを立ち上げて、そこで作業を始めるというものとは異なる」(大坪氏)とし、さらに「3DEXPERIENCEプラットフォームのアプリはWebブラウザ上で動作するため、インストールやバージョンアップといった作業も必要ない」と大坪氏は強調した。
プロジェクトメンバーの声
3カ月という短期間で、完全オンラインによるリモート設計環境の中、2人乗りキックボードの開発を実現したプロジェクトメンバーからの評価としては、Collaborative Lifecycleによるリビジョン管理やProject Planningによる工程管理、さらには3DSwymによるコミュニケーション/コラボレーションが好評だったようだ。その一方で、クラウド利用が前提となるため、通信速度などのネットワーク環境の整備に課題を感じる声もあったという。
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