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Armの次なる2000億個出荷に向けた布石「Arm Total Solutions for IoT」の狙いArm最新動向報告(15)(1/3 ページ)

Armの年次イベント「Arm DevSummitの発表内容をピックアップする形で同社の最新動向について報告する本連載。今回は、2021年10月19〜21日にかけて開催された「Arm DevSummit 2021」について、「Arm Total Solutions for IoT」を中心に紹介する。

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 2021年10月19〜21日にかけて「Arm DevSummit 2021」が開催された。完全オンラインということもあって、日本時間で常識的な時間にイベントが行われたのは筆者としても正直助かるところ。ちなみにオンデマンド配信は11月末まで視聴できるので、もし見逃した方はお急ぎいただければと思う。

⇒連載「Arm最新動向報告」バックナンバー

2021年はこれまでまいてきた種を育てる年?

 とか書いておいてアレだが、2021年は案外に新しい話が少ない年でもあった。Armからすれば2021年は「これまでまいてきた種を育てる年」という位置付けなのかもしれない。同社 CEOのサイモン・シガース(Simon Segas)氏の基調講演内容は、この30年でArmベースのチップが合計2000億個出荷されたことに触れ、今後は次の2000億個に向けて、より努力をしてゆく、という漠然としたものであった。もちろんArmの場合、CEOの基調講演ではあまり詳細には触れないが、新しいものがあればそこに言及があることも普通である。ただその場合、続くセッションなどで詳細が説明されるわけだが、今回に関して言えば後述するCortex-M向けの「Arm Total Solutions for IoT」を別にすると、5G基地局の、それもORAN向けにArmとパートナー企業が協力してソリューションを提供する(Armは「SystemReady」をベースに基地局向けソリューションを提供する)といった話と、「Project Cassini」が順調に進展しているという話があった程度で、いずれも2020年までにまいた種が順調に育っている、という以上の話ではない。

 下衆の勘繰りで言えば、Armの将来のロードマップは現在かなりの部分がNVIDIAによる買収を前提にしており、ところが肝心の買収承認がいまだに下りていない(それどころかむしろ泥沼になりつつある、という話はTechFactoryの記事で触れている)段階では、将来の話はしたくてもできない、ということなのかもしれない。今回発表された話は、現在のNVIDIAのポートフォリオには全く存在しないCortex-M向けのソリューションだから、買収の有無にあまり影響を受けないので発表できた、というのはうがった見方すぎるだろうか?

「Arm Total Solutions for IoT」とは

 さて、ではArm Total Solutions for IoTとは? という話であるが、概略は既にこちらの記事で報じられている。

 具体的には「Arm Corstone」「Arm Virtual Hardware」、それと「Project Centauri」の3つの要素から構成され、Cortex-Mベースのより堅固なソリューションを、より短期間に市場投入できるようにするための仕組みである(図1)。

図1
図1 「Arm Total Solutions for IoT」を構成する3つの要素[クリックで拡大] 出所:アーム

 「だったらCortex-Aと同じくSystemReadyでいいじゃないか」という声が上がりそうだが、Cortex-A向けとCortex-M向けではいくつか事情が異なる。

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