事例で振り返る協働ロボットの使いどころ:いまさら聞けないスマートファクトリー(14)(3/5 ページ)
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第14回では、「使いどころを探すのに苦労する」という声の多い協働ロボットについて、実際の事例をベースに紹介します。
人がやる必要のない作業を何とかする
まず、起点として考えるのは「それ、人が本当にやる必要があるの?」という領域で、使えないかを検討してみることかしら。
どういうことですか?
協働ロボットの用途は、人と産業用ロボットの間の領域で、使えるところを探すことになるけれど、日本の工場では人手による作業が非常に幅広く残っているわよね。そこで「実はあまりやりたくないなあ」と思うところを協働ロボットで置き換えることを考えるということね。
なるほど、確かにモノを運ぶだけの役割や、単純作業を繰り返すだけの作業など、人間性を押し殺してやる作業はたくさんあるような気がします。
そうね。例えば、DMG森精機の伊賀工場では、工作機械の工具の搬送をしたというわ。これなんかは、まさに人が行う必要があるのかを疑問に感じるところを、協働ロボットで自動化したという例になるわね。
DMG森精機の伊賀工場では、さまざまな工作機械の生産を行っています。ただ、さまざまな加工を行う際には、使用する工具や治具が多岐にわたります。これらを管理場所から各加工現場に運ぶ作業は、従来は自動化が難しかったために人手で行っていました。
しかし「人が行うのにやりがいもない上、負荷の高い作業となっていた」(DMG森精機)ことから、新たに開発したAGV(無人搬送車)上に人協働ロボットを装着した移動型ロボットで自動化を行いました。従来は実際に加工する機械と管理場所の往復で専任の従業員が1人張り付いているという状況でしたがこれを完全自動化できたといいます。
なるほど、確かに搬送するだけで1日張り付くのは心が折れます。AGVと協働ロボットを組み合わせて作業内容を設定するのは少しハードルが高そうですが、考え方はよく分かりました。
まあ、独自開発するというのは難しいとは思うけれど、こういう発想で探せば同じようなところはまだまだあると思うので、そういう中で協働ロボットがはまりそうなところを見つけ出すということね。
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