監視カメラシステムの世界市場は2026年に6兆4000億円へ:人工知能ニュース
矢野経済研究所は、監視カメラシステムの世界市場に関する調査結果を発表した。2020年はコロナ禍を受けて縮小していたが、2021年は回復傾向となった。同社では2021年の同市場を、前年比13.1%増の3兆3600億円に達すると予測している。
矢野経済研究所は2021年10月26日、監視カメラシステムの世界市場に関する調査結果を発表した。調査は、監視カメラシステム関連ベンダーなどを対象に、同年6〜9月に実施された。
発表によると、2020年はコロナ禍によるロックダウンなどの影響を受けて監視カメラの工事が中断したことや、顧客企業による投資が延期もしくは中止となったことから市場が縮小し、前年比10.8%減の2兆9700億円となった。
2021年は、延期されていた案件が再び動き出したことに加え、欧米、中国で市中監視やマーケティング分野でAI(人工知能)ソリューションを用いたIP(ネットワーク)カメラの導入が進み、市場が回復傾向となった。同社では、2021年の同市場について、前年比13.1%増の3兆3600億円に達すると予測している。
また、コロナ禍を受けて、非接触での体温検知や混雑状況の把握などを目的としたIPカメラの需要が拡大している。さらに、非接触および非対面で店舗や施設を管理すべく、現場の遠隔監視を目的としたクラウドカメラの利用が増加した。
IPカメラ単体の価格は下落傾向にあり、機器単体では事業を展開しにくくなっている。このため、ベンダー各社は画像解析サービスやIoTソリューションの提供に力を入れており、監視カメラはそれらのサービスの一要素として提供されるケースが多くなっている。
同社は監視カメラシステム世界市場の今後の展望として、欧米や日本、中国などの各国市場で、AIを用いた画像解析ソリューションの導入が進み、業務の省人化や無人化に向けたカメラの需要が増加すると見ている。そして同市場は今後も拡大を続け、2026年には6兆4000億円に達すると予測している。
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