Re:ゼロから始める工場のサイバー衛生:事例で学ぶ製造業DXセキュリティ対策入門(3)(5/5 ページ)
社内DXセキュリティプロジェクトチームのリーダーに任命された、ABC化学薬品新卒6年目の青井葵。元工場長の変わり者、古井課長の手助けも得て、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」を推進していく本連載。今回は、セキュリティが自分事ではない工場現場にセキュリティ意識を持ってもらうための方法を考える。
サイバー衛生って言葉でなんかヒラメいた!
なるほどよく分かりました。衛生観念といえば、課長のそのコーヒー、さっき電話してる間に、情シの若山さんがここに少し寄ったんですけど、勝手に飲んでましたよ。
ううぇ。そうなの。さっき飲んじゃったよ……。道理で変な味がしたような。
……というのはウソです。でも、「管理していないUSBメモリをパソコンに挿すのは、その誰が飲んだか分からないコーヒーに口を付けて飲むようなものですよ」と説明すれば、単にルールですよというよりも、実際の効果あるような気がしません? サイバー衛生って言葉でなんかヒラメキました!
……。うん、おかげさまで、もう二度と紙コップを放置しないと決めたよ。とてもいいアイデアだね。実際、ちょっとトラウマだし。特に衛生観念が高いといわれる日本では効果あるかもね。
今まで見たことないような渋い顔をする課長を見ながら、こういう小さなアイデアを積み重ねることで、工場の人たちにセキュリティを自分事として捉えてもらうのが大事だと気がついた。
ありがとうございます。課長のおかげで、光明が見えてきました。
それは良かった。…。やっぱり、トイレでうがいしてくる。
あらら、ちょっとやり過ぎてしまったな。
参考資料:古井課長作の工場向けヒアリングシート
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筆者プロフィール
佐々木 弘志(ささき ひろし)
国内製造企業の制御システム機器の開発者として14年間従事した後、セキュリティベンダーに転職。制御システム開発の経験をもつセキュリティ専門家として、産業サイバーセキュリティの文化醸成(ビジネス化)をめざし、国内外の講演、執筆などの啓発やソリューション提案などのビジネス活動を行っている。CISSP認定保持者。
2021年8月〜現在:フォーティネットジャパン株式会社 OTビジネス開発部 部長
2012年12月〜2021年7月:マカフィー株式会社 サイバー戦略室 シニア・セキュリティ・アドバイザー
2017年7月〜現在:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)産業サイバーセキュリティセンター(ICSCoE)専門委員(非常勤)
2016年5月〜2020年12月、2021年7月〜現在:経済産業省 商務情報政策局 情報セキュリティ対策専門官(非常勤)
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