パナソニック新潟工場の現場を変えた、たった4人の「からくり改善」【後編】:メイドインジャパンの現場力(32)(2/4 ページ)
たった4人で始めた同好会からスタートし、「からくり改善」により次々に成果を生み出しつつあるのが、パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場である。同社の「からくり改善」を活用した現場改善への取り組みを紹介する。後編では、実際に導入された「からくり改善」装置とその効果についてお伝えする。
センサーの代わりにししおどしの仕組みを活用
さらに「どんだけ〜 1コウ(1号)」を進化させ、複数サイズのワークを自動で整理して蓄積できるようにしたのが「どんだけ〜 2コウ(2号)」だ。こちらも現場で蓄積スペースの管理に必要な手間を削減することを目指した「からくり改善」装置となる。ただ、ポイントは同一サイズのモノだけを扱う「どんだけ〜 1コウ(1号)」とは異なり、複数のサイズのワークが流れてくるという点だ。これをからくりでどのように把握し整頓するかということが工夫が必要な点となった。
「通常はセンサーを使ってどのサイズのワークがどこにあるかを把握するという発想になる。ただ、センサーを使ってできることはからくりでもできると考えた。そこでセンサーが必要な位置にレバーを設置。全てのワークが端まで行き渡った時に3カ所のレバーが押さえられる状況とし、3つ全てが押さえられた時にロックが外れ自重で蓄積スペースにワークが流れる仕組みを作った」と徳吉氏は工夫について語っている。
これにより、さまざまなサイズのワークが流れてきてもセンサーなどの電気的な仕組みなしに自動で整理して並べることができるようになった。これにより、補助人員1人の削減と1日当たり50分のライン停止改善の効果が得られたという。ちなみに、この装置の開発期間も約5日で費用は6万4000円だとしている。
徳吉氏は「センサー含めた電気関連の技術は便利だが活用すると決めた途端に安全面での問題も含め、必要な費用や導入の期間も大幅に増える。高度な電気制御などを用いる場面も必要だが、手軽に作業負荷を軽減する『からくり改善』で解決できる問題も工場には数多く存在する」と意義について語っている。
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