2D図面の“一義性”を考える【その4】断面図を使用した図形の表し方:3D CADとJIS製図(6)(2/4 ページ)
連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第6回では、断面図を使用した図形の表し方を詳しく取り上げる。
2−1.全断面図
「全断面図」とは、対象物を1平面の切断面で切断して得られる断面図を省くことなく描いた図のことです。
前ページの図4では、部品の中心軸を通る平面(正面)に沿って切断しましたが、図6のように部品(および組み立て図)の基準に沿って切断した図面のことを全断面図といいます。
断面図では、切り口だけを実線で描くのではなく、その向こう側にある外形線も描く必要があります。また、図6の断面図の例では、見えていない部分を隠れ線で描くことはしていません。描かなければならない断面図の機能を考え、不必要な隠れ線は描かないという判断も「分かりやすい図面」を作製する際に必要となります。
さらに図6下段の通り、切断線を描き入れて、どこで切断したのかを明確にしています。ただし、JISの文献などを見ると、基本になる中心線(基本中心線といいます)で切断した場合は、切断線は不要とも書かれています。ちなみに、図6はSOLIDWORKSの断面図作成機能で作成したものですが、自動的に切断線が表示される仕様であるため、このまま使用しました。
2−2.片側断面図
「片側断面図」とは、対象中心線を境にして外形図の半分と全断面図の半分とを組み合わせて描いた図のことです。基本中心線を通る直角な2つの切断面によって描かれます(図8)。
SOLIDWORKSでは、半断面図作成機能によって片側断面図を作成できます(図9)。
ちなみに、SOLIDWORKSの3D機能で片側断面図(半断面図)を表すと図10のようになります。断面を設定する“直交する2平面”を選択し、交差ゾーンによって表示します。
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