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国内投資を減らす日本企業の変質と負のスパイラル:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(9)(3/5 ページ)
苦境が目立つ日本経済の中で、中小製造業はどのような役割を果たすのか――。「ファクト」を基に、中小製造業の生きる道を探す本連載。第9回は、経済における企業の役割と、日本企業の変質についてファクトを共有していきます。
米国やドイツの「経済のカタチ」
このように、企業の負債が停滞しつつ、政府や海外が純金融負債を増やしている状況は、一般的なのでしょうか? OECDのデータで、他の国とも比較してみましょう。
図4、図5、図6はそれぞれ米国、ドイツ、英国のグラフです。念のため同じOECDのデータで日本のグラフを作ったものを図7に掲載します(図3とほぼ一致します)。
どの国も基本的には企業が純金融負債を増やし、家計の純金融資産が増えている関係が見て取れると思います。2008年のリーマンショック以降は、ドイツの場合はさらに海外が純金融負債を増やしていますし、英国と米国の場合は政府が純金融負債を増やしています。主として負債を増やしているのは企業ですね。
日本だけ企業の純金融負債が目減りしていて、家計の純金融資産の伸びも緩やかです。これらのグラフを見ても、どうやら日本だけ「企業」が変質しているといってもよい状況だといえます。
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