AM技術の研究と普及、造形サービスを目的にした新施設がオープン:3Dプリンタニュース
YOKOITOは、Additive Manufacturing技術の研究や、造形サービスを提供する場となる施設「Yokoito Additive Manufacturing Center」を開設した。
YOKOITOは2021年10月1日、Additive Manufacturing技術(AM技術:付加製造技術)の研究や、造形サービスを提供する場となる施設「Yokoito Additive Manufacturing Center(YAMC)」を開設した。ショールームと造形ファクトリー(プリンティングファクトリー)も併設する。
同社は、AM技術が今後の日本のモノづくりに大きな変革を与える可能性があると考えており、AM技術の研究と普及のため、YAMCを新設した。
YAMCでは、複数の専門スタッフが3Dプリンタなどを用いて、AM技術の活用法や可能性について研究を進めていく。スタッフ自身がAM技術のユーザーとなることで、リアルな視点でAM技術の導入を検討できるようにするのが狙いだ。
最新技術を体験できるショールームには、さまざまな3Dプリンタを展示。製品パンフレットや、持ち帰りできる無料サンプルも用意している。
プリンティングファクトリーにも多様な3Dプリンタを設置しており、公開されている国内の3Dプリント施設としては、最大規模の稼働機数を誇る。なお、機密保持や環境管理の点から、ファクトリーの見学は通常ガラス窓越しとなる。
ショールームとファクトリーの設置3Dプリンタは、SLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」一式、生体適合性材料対応のSLA方式3Dプリンタ「Form 3B」「Form 3BL」8台、SLA方式3Dプリンタ「Form 3」14台、FDM方式3Dプリンタ。他に、後処理用の各種設備を設置しており、機器や設備は今後、順次拡張する予定だ。
また、同社では、YAMCのファクトリースペースを使って3Dプリントサービスも提供する。一般的、工業的な材料のほか生体適合性材料も取り扱っているため、医療器具、実験器具の試作や製作、食品に関わる製品や皮膚と接触する製品の試作などにも対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コロナ禍で生まれた3Dプリンタ活用の流れが、デジタル製造を加速
コロナ禍で、あらためてその価値が再認識された3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリング。ニューノーマルの時代に向け、部品調達先や生産拠点の分散化の流れが加速していく中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、その活用に大きな期待が寄せられている。2021年以降その動きはさらに加速し、産業界におけるデジタル製造の発展を後押ししていくとみられる。 - 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。 - 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。 - 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。