中小向け情報連携アプリを無償公開、現場からDXを支援するIVIの新たな一手:IVI公開シンポジウム2021秋(1)(2/3 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2021年10月7日、オンラインで「IVI公開シンポジウム2021-Autumn-」を開催した。今回はその中から、IVI 理事長の西岡靖之氏による講演「動き出す、中小製造業!〜つながるものづくり実践編(第一話)〜」の内容を紹介する。
Excelでつながる個人間情報連携を拡大へ
これらを踏まえた上で中小製造業のDXには「変えてはいけないもの」と「変えなければいけないもの」があるという。「目指すのは『当たり前のスマート化』であり、全てをデジタル化したりスマート化したりすることではない。強みである『機動性』『独自性』については変える必要はない。一方で既存の枠組みでは難しい『適応力』や『連携力』については変えていかなければならないところだ。こういう領域でデジタル技術を活用する」と西岡氏は語る。
その中でまずは情報の連携を進める。Excelでの業務管理は個人間や部門内の情報連携の仕組みだが、それを部門間や企業間などに広げていくためには情報連携の仕組みが必要になる。そのためには今あるExcelによる個人管理の情報を連携させていくことが必要になる。
その中で、製造現場の当たり前である。「記録が取れる」「確認ができる」「改善ができる」というところで「デジタル技術を活用しスマート化を進めることで新たな価値を生み出すことができる」と西岡氏は訴えている。
つながるメリットとデメリット
ただ、デジタル技術によりつながることにはメリットもデメリットも存在する。つながることにより競争が激化したり、マネされたり、価格競争に巻き込まれたりするような場合も考えられる。西岡氏は「必ずしも全ての領域でデジタル化を行い、連携を進めていく必要はない」と語る。
そして、つながった中でも勝負していくためには「要素技術」「管理技術」「対応技術」などで勝負できるように技術を磨く必要があるという。「要素技術とは、製品についての独自技術や固有設備によって生み出されるものだ。管理技術とは、工程管理や品質管理により、安定した製品供給が行えるようなことを指す。対応技術には短納期、小ロット対応や逆提案などがある。これらの何を強みとして勝負するのかという発想が必要だ」と西岡氏は考えを述べる。
その上で「デジタル化は、効率化やつながる化(情報連携)の手段である。つながる化を進めると売り上げや顧客が増えるというメリットがあるものの、独自技術がマネされて競争力が損なわれるデメリットが起こり得る。そのため、もし、一から始めようと考えるのであれば、知財がからまないようなところからスタートするとよい。例えば、在庫管理や進捗管理などである」と西岡氏は最初の一歩の踏み出し方を紹介した。
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