消費電力と機能を最適化、32ビットマイコンのエントリーラインを量産開始:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットArmマイコン「RA4」シリーズのエントリーライン「RA4E1」グループの量産を開始した。消費電力と周辺機能、通信インタフェースを最適化し、システムコストの削減に貢献する。
ルネサス エレクトロニクスは2021年9月22日、最大動作周波数100MHzの32ビットArmマイコン「RA4」シリーズに、エントリーラインの「RA4E1」グループを追加し、量産を開始したと発表した。消費電力と周辺機能、通信インタフェースを最適化しており、システムコストの削減に貢献する。
Arm Cortex-M33を搭載し、セキュリティ機能「TrustZone」を備える。消費電力は100MHz動作時で60μA/MHz、CoreMarkプログラム実行時で81μA/MHzに抑えた。インタフェースは、USB2.0フルスピード、シリアル通信、Quad SPI、CANを搭載する。
また、FLL(Frequency Locked Loop)を使用した±0.25%の高精度なオンチップオシレーター、A-DおよびD-Aコンバーター、低電圧検出機能、内部リセット機能を内蔵したことで、有効GPIO端子数が増加。システムコストの低減につながる。
メモリとして、256K〜512KBのフラッシュメモリ、128KBのSRAMを搭載する。動作温度範囲は−40〜+85℃で、48〜64ピンパッケージを用意している。Arm Cortex-M33搭載の上位製品「RA4M3」へのマイグレーションも可能で、拡張性も高い。
家電製品やスマートホーム、ビルオートメーション、産業用センサーハブ、ホームエンターテインメントなどでの利用を見込む。オンチップデバッガを搭載したプロトタイピングボード「RA4E1 Fast Prototype Board」も、参考価格20米ドル(約2200円、税別)台で提供している。
関連記事
- 旺盛な半導体需要で好調なルネサス、Dialog買収効果含め営業利益率30%も視野
ルネサス エレクトロニクスが同社の事業展開の進捗事業を説明。足元の旺盛な半導体需要もあってIIoT(産業、インフラ、IoT)事業が好調に推移しており、2021年の通期業績は当初予想からIIoT事業の売上高と利益が上振れする見込みで、全社の営業利益率も前年の19%に対して25〜30%を見込める状況にあるという。 - Dialogの買収を完了したルネサス、「ウィニングコンボ」をさらなる高次元へ
ルネサス エレクトロニクスは、2021年8月31日に買収を完了した英国Dialog Semiconductorとのシナジー効果や、近年注力している製品の早期開発に役立つソリューション「ウィニング・コンビネーション(ウィニングコンボ)」の新たなラインアップについて説明した。 - 「ルネサスは宝の山」、ウイニングコンボの仕掛け人が放つ新たな戦略とは
ルネサス エレクトロニクスの好業績の要因の一つになっているのが、「アナログ+パワー+組み込みプロセッシング」をコンセプトとするソリューション「ウイニング・コンビネーション(ウイニングコンボ)」だ。このウイニングコンボを展開するSST(システムソリューションチーム)は、新たな戦略として「クイックコネクトIoT」を投入した。 - オンラインで評価ボードを試せる「Lab on the Cloud」、実際どんな感じなのか
ルネサス エレクトロニクスが拡充を発表したオンラインの評価ボードテスト環境「Lab on the Cloud」。今回の拡充で総計23種類のボードが利用可能になったが、実際にどのような感じで利用できるのだろうか。「超低消費電力なREマイコンによるIoTエッジ向け音声認識ソリューション」を例に見ていこう。 - ルネサスのCortex-M33マイコンが最上位品種を追加、フラッシュは最大2MBに
ルネサス エレクトロニクスは、Arm Cortex-M33コアを搭載したマイクロコントローラー「RA6M5」シリーズ20品種を発売した。最大動作周波数は200MHzで、通信インタフェースを複数備える。 - 「RAファミリ」が国内パートナーを拡充、19社のソリューションを追加
ルネサス エレクトロニクスは、Armコアを採用する32ビットマイコン「RAファミリ」のパートナーを拡充した。19種のソリューションを新たに追加し、日本のユーザー向けサポートを重点的に強化している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.