電池なしで走るプラレール、新開発のテコロチャージシステムで実現:組み込み開発ニュース
タカラトミーは、鉄道玩具「プラレール」シリーズの新商品として、電池なしで電動走行する「電池いらずで出発進行!テコロでチャージ(以下、テコロでチャージ)」シリーズを、同年10月21日に発売すると発表した。62年の歴史を持つプラレールシリーズにおいて、電池なしで走行する車両は初めてだ。
タカラトミーは2021年9月3日、鉄道玩具「プラレール」シリーズの新商品として、電池なしで電動走行する「電池いらずで出発進行!テコロでチャージ(以下、テコロでチャージ)」シリーズを、同年10月21日に発売すると発表した。62年の歴史を持つプラレールシリーズにおいて、電池なしで走行する車両は初めてだ。
テコロでチャージは、車体を床やテーブルの上などで前後に転がして車輪を回転させることで発電する仕組みとなっている。約30秒間発電することで、正円に組んだレイアウトで約5〜6周分に当たる約7mを、電池を使うことなく電動走行させることができる。
発電機構の「テコロチャージシステム」は、プラレールを十分に電動走行させるために必要な電力を子供の手の力だけで作り出せることを目指してタカラトミーが新たに開発した。特許出願中ということで「特殊なシステム」(同社)と詳細は明かしていないものの、前進と後進、両方向の手転がしにより発電・蓄電する機構になっている。
なお、この機構は、同社が公開している解説映像では「特殊なギア搭載」とされている。また、製品Webサイトの「上手なチャージのしかた」によると、発電の際に強過ぎる力が加わって内部機構が破損しないようにクラッチ機構も組み込まれている。クラッチ機構が働く「カチカチ」という音がしない範囲で、できるだけ早く前後に車体を転がすのがチャージのコツだという。
テコロチャージシステムでは、車輪の回転力を新開発の機構からモーターに伝達して発電を行い、電力はキャパシターに蓄える。車体の運転席に組み込まれたLEDの明るさが変わらなくなったら充電完了で、スイッチをONにするとキャパシターの電力を使ってモーターを回して走行する。
タカラトミーは「脱炭素社会の実現のため、クリーンなエネルギーへの転換が注目されている中、再生可能エネルギーの仕組みを実現し、子供自らがエネルギーを作り出すことで、遊びながら学ぶことができる商品として提案する」としている。また、地球環境に優しいおもちゃ作りを目指す同社のエコトイ認定商品となっている。
テコロでチャージの価格(税込み)は4180円。「E5系新幹線はやぶさ」と「E6系新幹線こまち」の2品種で展開し、2品種合計の販売目標は2万個である。
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