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製造業がポストコロナで勝ち残るために最低限必要となる3つの視点ものづくり白書2021を読み解く(2)(4/5 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2021年版ものづくり白書」が2021年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2021年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では「製造業のニューノーマル」の主軸として紹介されている「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という3つの視点について掘り下げる。

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デジタル(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みとは

 日本はこれまで目指すべき社会の姿として「Society 5.0」を掲げ、2017年3月には日本の産業が目指すべき姿として「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」を提唱し、世界に向けて発信してきた。また、2020年版ものづくり白書では、「不確実性」の高い世界では、環境変化に対応するために、組織内外の経営資源を再構成および再結合する経営者や組織の能力「ダイナミックケイパビリティ」が競争力の源泉となり、ダイナミックケイパビリティの要素である「感知」「捕捉」「変容」の三能力を高めるためには、デジタル化が有効であると論じていた(図14)。

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図14:ダイナミックケイパビリティの概要とデジタル化との関係(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

 しかし、現状では製造事業者に限らず多くの企業においてDXの取り組みは未着手、または一部部門での実施にとどまっており十分に進んでいるとはいえない(図15)。経済産業省は、2020年12月に公開した「DXレポート2(中間取りまとめ)」の中で、テレワークなどを始めとする、COVID-19の感染拡大によって変化した人々の動きや社会活動がもはや感染拡大以前に戻らないことを前提とすれば、「人々の固定観念が変化した今こそ、企業文化を変革し、DXを進める絶好の機会である」と述べている。

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図15:DX推進指標自己診断結果(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

 2021版ものづくり白書では、製造業においてDXを効果的に進めるには、それぞれのITソリューションが連携し、業務領域間でスムーズなデータ連携が行われることが重要だとしている(図16)。そのために今後、各企業は「営業」「設計開発」など自社がバリューチェーン上で担っている役割などを的確に把握しつつ、無線通信技術の活用なども含め、効率的かつ戦略的なDX投資を進めていく必要があると指摘する。

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図16:バリューチェーンの各工程が管理する情報群(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

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