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売れ筋車種の生産ラインも稼働調整/義務化まであと1年の規制、「対応完了」は2割自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

土曜日ですね。1週間、お疲れさまでした。大雨に見舞われている西日本の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。日々の暮らしはもちろんお仕事の面でも、少しでも早く落ち着いた日常に戻れますように。

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 土曜日ですね。1週間、お疲れさまでした。大雨に見舞われている西日本の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。日々の暮らしはもちろんお仕事の面でも、少しでも早く落ち着いた日常に戻れますように。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も広がっています。トヨタ自動車は8月20日、8月下旬から9月にかけて生産調整を実施すると発表しました。東南アジアでCOVID-19の感染が拡大し、部品が供給不足となっているためです。国内の14工場全てで稼働停止日を設けます。「センチュリー」など少量生産のラインは9月の稼働なしとなるだけでなく、新型が出たばかりの「ランドクルーザー」の生産ラインは20日間の稼働停止ですし、「ヤリス」「アルファード」「ハリアー」といった売れ筋モデルの生産拠点も同様に決して短くはない稼働停止日が設けられます。

 減産規模はグローバルで36万台、このうち国内では14万台に上ると報じられていますが、トヨタ自動車は2021年度通期の生産台数の見通しを変更していません。国内生産が320万台、海外生産が610万台、合計930万台という通期の生産計画に今回のようなリスクを織り込んでいる、というのが理由です。

 ダイハツ工業も東南アジアでのCOVID-19感染拡大に伴う部品の供給不足で、国内4工場で8月下旬から9月に生産調整を実施します。

 「ロッキー/ライズ」「タント/シフォン」「ムーヴ キャンバス」を生産する滋賀(竜王)第2工場で合計17稼働日、「トール/ルーミー/ジャスティ」「ブーン/パッソ」「コペン」を生産する本社(池田)工場で合計10稼働日、「プロボックス」を生産する京都(大山崎)工場で合計3稼働日、「ミラ イース/ピクシス エポック/プレオ プラス」「ミラ トコット」「ムーヴ/ステラ」「キャスト/ピクシス ジョイ」「タフト」を生産するダイハツ九州の大分(中津)第2工場で合計8稼働日の生産停止を設けます。

 以前、連載を書いているカッパッパ氏から「毎月20日ごろに提示される次月内示を見たら急に数が減っていて、自動車メーカーから公式の連絡が入るよりも先にインターネットのニュースで情報が入ることもあります」と聞きました。今回もニュースで見て驚いたという方が多かったのでしょうか。

 今回生産調整を発表したのはトヨタとダイハツだけですが、直近で発表された2021年4〜6月期決算では日産自動車やホンダ、三菱自動車が通期の業績予想を上方修正しています。ホンダは通期の販売台数を下方修正した上で、業績を上方修正しています。東南アジアでのCOVID-19感染拡大の影響と全く無関係ではいられない製造業が多い中、こうした上方修正の見通しが維持されるのか、見守りたいと思います。

テスラのオートパイロットの調査で2014〜2021年に販売された4車種が対象に

 今週は、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)がTesla(テスラ)の運転支援システム「オートパイロット」に対する調査を開始したことも話題になりました。調査対象は、2014〜2021年に販売された「モデルS」「モデルX」「モデル3」「モデルY」で、販売は合計76.5万台に上るといわれています。

 オートパイロット使用中のテスラ車が、停車中の緊急車両と衝突する事故が2018年以降11件発生していることを受けて、NHTSAが調査を行います。この11件の事故のほとんどは日没後に発生しており、事故現場は緊急車両のライトや誘導灯、発煙筒、コーンなどで管理されていたとされています。

 オートパイロットは、ドライバーが周辺監視から離れることができるタイプの自動運転システムではありません。NHTSAは4車種を対象に、ドライバーの運転操作を監視、アシストする技術や手法を評価するとしています。オートパイロット作動中のODD(運行設計領域)やOEDR(対象物・事象検知・反応)についても評価します。

 ADAS(先進運転支援システム)についてNHTSAが厳しい目を向けているのはテスラだけではなく、ほぼ全ての乗用車メーカーと、商用車メーカー、大手のティア1サプライヤーも同様です。ADASもしくはレベル3以上の自動運転システムが関与した米国内の衝突事故は、全て報告するよう義務付けています(違反すると高額な罰金も科されます)。

 最近は電動化の話題に押されて自動運転関連は目立ちにくいところがありますが、事故を減らす上でADASと自動運転はなくてはならない技術です。安全運転に資するという本来の目的に向かって、進み続けてほしいところです。

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