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EUのワクチンパスポートを支える分散型連携基盤と「トラスト」海外医療技術トレンド(74)(2/4 ページ)

本連載第61回で、欧州連合(EU)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けデジタル接触追跡アプリケーションの越境連携エコシステムを紹介したが、今回は、ワクチン接種証明書(いわゆるワクチンパスポート)を取り上げる。

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ワクチン接種証明書に関わるビジネスプロセスの域内標準化

 COVID-19ワクチン接種証明書では、EU域内共通のビジネスプロセスとして、以下の3つのステップを挙げている。

  1. 保健情報システムにおける、的確な認可機関局向けの医療イベントに関するデータの収集および登録
  2. COVID-19ワクチン接種証明書の発行
  3. 検証者(例:国境警備隊、医療専門家)に対する、検証を行うためのCOVID-19保健認証の提示

 図2は、ワクチン接種のフロー事例を示している。

図2
図2 ワクチン接種のフロー事例(クリックで拡大) 出典:eHealth Network「OUTLINE Interoperability of health certificates Trust framework V.1」(2021年3月12日)

 標準的なワクチン接種のフローは、以下の9つのステップから構成される。

  • 特定:ワクチン提供者によって、市民が特定される
  • ワクチン接種:市民がワクチン接種を受ける
  • データ登録:ワクチン提供者が、ワクチン接種イベントに関する情報をデータベースに登録する
  • 要求の認証:市民が認証発行者からの認証を要求する
  • 発行:認証発行者がワクチン接種証明書を発行する(紙/デジタル)
  • 保存:市民が証明書を保存する
  • 証明の要求:検証者がワクチン接種証明書を市民に求める
  • 提示:市民がワクチン接種証明書を検証者に提示する
  • 検証:検証者が証明書の有効性や真正性を確認する

 このようなフローを前提として、トラストフレームワークは、以下のような設計原則7項目を掲げている。

  • 国境を超えた相互運用性
  • データ保護(例:データの最小化、目的の限定)
  • データセキュリティ/プライバシー・バイ・デザイン/バイ・デフォルト
  • 包括性
  • 簡潔性と使い勝手
  • 展開の柔軟性
  • オープンな標準規格

  そして、表1に示すような形で、ユーザーの役割を設定している。

表1
表1 ユーザーの役割(クリックで拡大) 出典:eHealth Network「OUTLINE Interoperability of health certificates Trust framework V.1」(2021年3月12日)を基にヘルスケアクラウド研究会作成

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