IBMなど4社共同開発の室内環境センシングシステムを横浜市役所などが導入:製造IT導入事例
日本IBMほか3社は、RFIDタグによる室内環境センシングシステムを共同開発し、横浜市役所およびNOKの本社ビルに導入した。RFIDタグと温度センサーなどを組み合わせた環境センサーで送受信ができる。
日本IBMは2021年7月16日、竹中工務店、マスプロ電工、NTTコミュニケーションズと共同で、RFIDタグによる室内環境センシングシステムを開発したと発表した。同システムを横浜市役所およびNOKの本社ビルに導入している。
今回開発を発表したシステムは、RFIDタグと温度センサーなどを組み合わせた環境センサーを、アンテナからの電波で起電させてデータを送受信する。これによって、室内環境データを効率的に収集できる。
システムは、温度センサーが搭載されたRFIDタグを用いたフルパッシブ方式と、RFIDタグと小型の太陽電池を組み合わせて複数センサーを搭載したセミパッシブ方式の2つの構築方式に対応する。
無線式で、かつ配線不要のセンシングシステムは、設置場所の制約が少ないため、さまざまなタイプが開発されてきた。しかし、電池交換などの維持管理の工数がかかることが課題だった。今回開発したセンシングシステムは、RFIDタグを電波により起電することで、電池交換を不要にしている。
アンテナの電波が届く範囲では複数のデータを同時に読み取り、移動中のRFIDタグを読み取ることもできる。そのため、室内環境データや人の在不在データなどを効率的に収集できる。
竹中工務店はRFIDによる室内環境センシングシステムの立案、設計、実施を担当し、日本IBMはRFIDシステムを構築。マスプロ電工は横浜市役所においてセミパッシブ方式の環境センサーの構築、NTTコミュニケーションズは通信ネットワークとデータ処理システムの構築を担った。
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