2つのデライトとその評価方法、適用事例としてのフライパンのデザイン:デライトデザイン入門(5)(2/4 ページ)
「デライトデザイン」について解説する連載。連載第5回では、デライトのステージとして「見て触って分かるデライト」と「使って初めて分かるデライト」の2つを紹介するとともに、フライパンのデザインを例にこれらを評価するための方法を提案し、2つのデライトを満足させる解を導出する。
見て触って分かるデライトの評価例:常套的手法
“見て触って分かるデライト”の評価は、連載第3回で紹介した方法に従った。すなわち、被験者実験のために20種のドライヤーを準備し、被験者にはこれを実際に手に取ってもらい、SD法により印象評価を行ってもらった。SD法に用いる形容詞対はともに手に取って使用することからドライヤーに準じ、“ドライヤーらしい”を“フライパンらしい”に変更した。図3にSD法で使用した形容詞対を示す。
SD法による被験者実験を19人の被験者(男性7人、女性12人)に対して実施した。被験者19人の各形容詞対回答結果の平均値を図4に示す。
また、フライパンの製品情報に関してはカタログ値、実測値から図5のように6項目を抽出した。
以降、図4の“好き”を目的変数、図5の4項目(底径と価格は除外した)を説明因子とした重回帰分析により、図6に示す“好き”に関するデライトマップを導出した。図中の黒色の矢印は製品に関する因子(重さ、容積、深さ、直径)の2つの物理指標への寄与度を示す。
官能指標である“好き”と説明因子との関係を見ると、“重さ”と反比例関係にあることが分かる。すなわち、被験者は重くない(軽い)フライパンを“好き”と判断していることが分かる。ここでは「軽いフライパンが好きですか?」とは質問していないので、被験者の潜在的なフライパンへの要求が抽出できたことになる。
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