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発見が難しい超微細な不良を人とAIが協働で検出するシステムを開発:製造IT導入事例
トライアートは、トヨタ自動車九州と共同で、熟練工が感覚的に発見するような超微細な生産ライン上の不良を、人とAIとが協働で検出する「不良予兆感知システム」を開発し、レクサス製造ラインにおいて試行開始した。
トライアートは2021年6月10日、トヨタ自動車九州と共同で、熟練工が感覚的に発見するような超微細な生産ライン上の不良を、人とAI(人工知能)とが協働で検出する「不良予兆感知システム」を開発したと発表した。トヨタ自動車九州宮田工場のレクサス製造ラインにおいて、試行を開始した。
同システムは、自動車生産ライン上のプレス工程で量産されるパネルのわずかな形状のズレや鋼板の伸張度の差異を、プレス機内に設置したサーモカメラ画像を元にして検出する。同工程での不良は、成形後のヒビや割れにつながる重大なものだ。しかしその発見は、従来熟練工の経験値と感覚に頼ることが多く、汎用化が困難な技能だった。
そこでトライアートは、同社のコンポジットAI(複合AI)「4CAS」を用いて、パネルの基準形状となるマスター画像を生成。生産されたパネルの映像とマスター画像との差異を算出することで評価するシステムを構築した。どのような事例が現れた時に不良が発生するのかの法則性を求めることができ、熟練工と同様の精度で不良予兆の感知ができるようになる。
マスター画像を生成する際にはAIによる学習だけではなく、途中で作業員がおおまかな形状を指定して、それをAIに戻して再度演算するという独自のフローを採用した。これにより、形状評価の信頼性と処理能力を向上した。
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