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ソニーの着るクーラー「REON POCKET」はなぜ生まれたのか、2号機はもっと冷える小寺信良が見た革新製品の舞台裏(18)(2/4 ページ)

ソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援するSSAPから生まれたヒット商品である“着るクーラー”こと「REON POCKET」。その初号機の開発経緯から、直近で発売した2号機での改善点、そしてこれからの課題などについて開発担当者に聞いた。

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「REON POCKET」は誰が買っているのか

―― 初号機が一般発売されて既に1年くらい経過しますけれども、どんなユーザーが、どう使っているかというフィードバックはありますか。

ソフトウェア開発を担当した伊藤陽一氏
ソフトウェア開発を担当した伊藤陽一氏(クリックで拡大) 出典:ソニー

伊藤陽一氏(以下、伊藤(陽)) 実際にREON POCKETをお使いいただいているユーザーにアンケートを取らせていただきました。その結果、約3割の方は、やはり通勤で使っていただいているということで、われわれが一番想定していた使い方でした。そこから、散歩や、コロナ禍のご時世ということでテレワークでも利用されています。

 REON POCKETの初号機の発売当時は、通勤が50%ぐらいでかなり通勤ユースに偏っていましたが、そこからだんだんテレワーク、散歩といった日常使いまで広がっていったようです。トータルでは6〜7割ぐらいがデスクワークを中心とした内勤の方に、残りはお仕事で屋外に出られる方にお使いいただいています。

ビジネスマンにも合わせやすいEDIFICEの対応ウェア
ビジネスマンにも合わせやすいEDIFICEの対応ウェア(クリックで拡大) 出典:ソニー

―― 現状、REON POCKETのように体を冷やす製品って、いわゆるファン付き作業服しかないと思うんですけど、そのユーザーは圧倒的に屋外作業者なんですよね。やっぱり見た目にも作業服ですし、普通に通勤で着ている人をまず見たことがない。REON POCKETは、そのファッショナブル感というか、コンパクトなIT商品であるというところからも、異なるユーザー層が買っている感じはありますよね。

伊藤(健) そうですね。ただ、屋外に出る方にも結構な割合で買っていただいていることは、実は想定外だったというところはあります。例えば、一度営業担当の方と話す機会がありましたが、ビジネスパーソンはやっぱりファン付き作業服を使うユーザーではない。見た目がスタイリッシュっていうところを担保しながら、冷感・温感を求める都市に住む方々向けの商品という位置付けです。

伊藤(陽) アンケートでも地域別としては東京が多くて、そこは想定通りでしたね。人が多くて、クルマよりも歩いたり電車での移動が多かったりする地域でのニーズが強いと想定していたので。

ペルチェ素子を体に着けることの難易度

―― これまでICやプロセッサの冷却に使っていたペルチェ素子を人の体に着けるというのは、かなり安全設計をしっかりやらないと、低温やけどなどの懸念もあると思いますが。

伊藤(陽) 安全については非常に力を入れておりまして、二重三重のフェイルセーフを、ソフトウェアとしても入れていますし、ハードウェアにも入れています。代表的なところですと、表面の肌に接触する部分の温度をモニタリングして、冷たくなりすぎないように、熱くなりすぎないようにというのをセンサーで感知するようにしています。

 そのセンサーが万が一故障したり、そのセンサーの値をモニタリングしているメインのプロセッサが停止してしまったりする場合も、ある一定の温度になった場合には動作を停止するようなアナログな仕組みも入れています。

 それから、発熱面を冷却するためのファンを搭載していますが、その回転数もモニターしていますので、例えば髪の毛がファンに絡まるような場合も検知して止まります。バッテリー関係についても、ユーザーに安心して使っていただけるような安全性を、二重三重に施しています。

伊藤(健) 必要以上に熱くなりすぎない、冷たくなりすぎないというコントロールは徹底的にやっています。製品によって、肌の部位に対して筐体が何℃であるべきかというガイドラインは、ソニーの中で昔から細かく定義されていまして。

―― ああ、確かにカメラって目に押し付けたり、ボディーが頬に当たったりしますもんね。

伊藤(健) ですから、まさにソニーがこれまでエレクトロニクスで培ってきたノウハウを、うまく転用できているのかなと思っています。伊藤陽一がソニーのガイドラインを読みながら、ずっと温度制御のプログラムをいじっていた記憶があります。

伊藤(陽) ガイドラインばかり読んでいました(一同笑)。

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