マイコンで動作するエッジAIの導入期間を短縮する小型モジュールの提供を開始:人工知能ニュース
エイシングは、エッジAIアルゴリズム「AiiR」シリーズを導入するまでの検証期間を短縮する、小型モジュール「AiiR-M1」の提供を開始した。Cortex-M4アーキテクチャを採用し、小型ながらAI動作に必要な性能を満たしている。
エイシングは2021年5月25日、エッジAI(人工知能)アルゴリズム「AiiR(AI in Real-time)」シリーズの導入を促進するため、事前検証を容易にする小型モジュール「AiiR-M1」の提供開始を発表した。
AiiRシリーズは、数Kバイトのメモリで動作可能で、環境の変化を逐次学習可能な高精度のエッジAIアルゴリズム技術だ。これまでに「MST(Memory Saving Tree)」「SARF(Self Adaptive Random Forest)」「DBT(Deep Binary Tree)」を提供している。
多くの企業でAIを使った自動化、省人化への検討が進む一方、AIの本格導入を困難にしているハードルがいくつかある。学習データの取得、データの学習とAIモデルの精度評価、機器へのAI組み込みと実機検証など複数の段階があり、専門技術者の確保や動作用基板の設計製作にも多くの時間とコストがかかる。
こうした問題に対処するため、同社は省メモリエッジAIアルゴリズムとそれを機械制御に応用するために必要な組み込み技術を活用して、AI導入コストの軽減を可能にするAiiR-M1を開発した。
AiiR-M1モジュールは、Cortex-M4アーキテクチャを採用し、小型ながらAI動作に必要な性能を満たしている。USBメモリ相当の大きさで直接PCに接続できるほか、UART接続も可能だ。
同社は、今後もAiiRシリーズの拡充に合わせてさまざまなモジュールを開発し、AI導入までの準備期間の短縮に貢献する。
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