今や“凡庸な先進国”へ、一人当たりGDPに見る日本の立ち位置の変化:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(3)(2/3 ページ)
苦境が目立つ日本経済の中で、中小製造業はどのような役割を果たすのか――。「ファクト」を基に、中小製造業の生きる道を探す本連載。第3回では、国民1人当たりの豊かさを示す指標「1人当たりGDP」に焦点を当て、日本の現在地を見てきます。
1人当たりGDPが低迷し“普通の国”となった日本
前回紹介した通り、日本としてのGDPのピークは1997年となります。そこで、当時の状況を切り取って1997年と2019年の一人当たりGDPを国別で順番に並べたグラフを見てみましょう。図3が1997年の、1人当たりGDPの国別比較のグラフとなります。
日本は3万5035ドルで、ルクセンブルク、スイス、ノルウェーに次いで4番目の水準でした。6位の米国(3万1424ドル)とも1割以上の差をつけており、OECD平均値1万8926ドルの2倍近くの高水準となっています。本連載の第1回でご紹介した通り、この時期における労働者の平均賃金も日本はOECDで3番目という水準でした。
次に、直近の1人当たりGDPについても確認してみます。図4が2019年の一人当たりGDPの国別比較グラフです。
順位を見てみると米国が6位を堅持しています。ただ金額は6万5240ドルとなっており、1997年の3万1424ドルと比べて2倍以上に成長しています。一方、日本は、4万292ドルで37カ国中19番目の水準にまで後退しています。G7の中では、ドイツやカナダ、英国に抜かれ、フランスとほぼ同等の水準です。OECDの平均値4万400ドルよりも下回っているという状況です。
残念ながら、日本は1人当たりGDPでも平均値程度の「凡庸な先進国」という立場となっていることは明らかです。しかも、停滞を続けていますので、このままだとさらに下位の国々に追い抜かれてしまう可能性すらあるわけです。こうした立ち位置の変化というものに目を向ける必要があります。
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