ChaoJi(チャオジ)は他の急速充電規格とのハーモナイズを狙う:和田憲一郎の電動化新時代!(42)(2/3 ページ)
激しく動く環境において、急速充電の規格を管理するCHAdeMO協議会は今後どのような方向性で進もうとしているのか。また、日本と中国の共同開発である超急速充電規格「ChaoJi(チャオジ)」はどこまで進んでいるのか。前回取材から約1年経過した今、現状やChaoJiの進捗状況について、CHAdeMO協議会事務局長の吉田誠氏と事務局メンバーの丸田理氏にインタビューを行った。
吉田氏 このような議論の中、日産社内でもいろいろ議論があり、アリアは日本向けモデルではCHAdeMO規格でいくものの、欧州向けモデルに対しては現地側の要望を受け入れCCS2で行くことになった。しかし、日産は欧州にもChaoJiの導入を進めようとしており、一時的にCCS2となるものの、将来はCCS2+ChaoJiのダブルアームを想定している。
日欧中は地域性が鮮明に、北米の急速充電は?
和田氏 これまで日産が欧州でもCHAdeMO規格のリーダー役として引っ張ってきていただけに、日系自動車メーカーにとってはやや混乱するように思われる。確かに地域性があり、日本はCHAdeMO、中国はGB/Tと色分けされているが、欧州はCCS2となるのだろうか。では北米についてはどう考えているのか。
吉田氏 日産は今後北米で対応する急速充電規格については明らかにしていない。マーケットの要望次第かもしれない。現に、北米ではCHAdeMO規格の急速充電器が多く、CCS1(北米コンボ規格)はまだ少ない。バイデン政権は今後50万基の充電インフラ(普通充電+急速充電)を設置していくと表明しており、どのようになるか注視していきたい。
テスラ(Tesla)のEVピックアップ「サイバートラック」も2021年末から市場投入されるようであり、GM(General Motors)、フォード(Ford Motor)など他社の動きも見ていきたい。言うまでもなく、日産は欧州だけでなく北米においてもChaoJiへの対応を想定しており、CHAdeMOの急速充電器を更新するときは、ChaoJiに切り替えることを想定している。
和田氏 テスラには、CHAdeMO規格の急速充電器に接続できるアダプターがある。もし北米がCCS1になったときにはどうするのか。
吉田氏 もともとテスラは独自規格の急速充電器を保有しており、まずは自社規格をさらに拡充するのではないだろうか。その後、CCS1の普及度合いにもよるが、もし拡大していくのであればCCS1にも合わせていく可能性があろう。
アジアのCHAdeMOの牙城は守れるのか
和田氏 もう1つ懸念される地域はアジアではないか。EVピックアップトラックや中国の現地自動車メーカーのEVがタイやベトナムなどに多数入ってくると、現在主流であるCHAdeMO規格も危なくなりそうだ。中国のGB/Tや他の規格に席巻されることはないのか。
吉田氏 それについては、中国や米国の自動車メーカーの立場で考えると、現在のアジア市場では、CHAdeMO規格の急速充電器が多いこともあり、まずはCHAdeMO対応のEVを売ろうとするのではないだろうか。つまり、ユーザーに不便をかけないように現地で最も多い充電規格に従う、ということだ。一方、急速充電器メーカーからすればGB/Tということも考えられなくはないが、リアルなビジネスで考えると、中国企業でもCHAdeMO規格の急速充電器を販売しているところもあり、必ずしも中国の規格であるGB/Tをアジアに無理やり拡充したいと思わないのではないだろうか。
またアジアは歴史的に欧州と関係が深かった国も多く、欧州の文化が入りやすいので、欧州の急速充電器CCS2を入れてしまおうとするところも出るかもしれない。その場合は、欧州と同様にCHAdeMO+CCS2のダブルアームとなる。
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