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【トラブル5】成形品に予期せぬ線が!? ウェルドラインの仕組みとその対策2代目設計屋の事件簿〜量産設計の現場から〜(5)(2/3 ページ)

量産樹脂製品設計の現場でよくあるトラブルを基に、その原因と解決アプローチについて解説する連載。第5回は、成形品に発生した予期せぬ線「ウェルドライン」について取り上げ、その仕組みと対策について解説する。

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穴の開いた板状の製品形状の場合

 続いて、穴の開いた板状の製品形状(図4)を例に、金型内部の樹脂の流れを見てみましょう。

穴の開いた板状の製品形状
図4 穴の開いた板状の製品形状 [クリックで拡大]

 射出成形において、金型内部に樹脂を流入する入口のことを「ゲート」といいます。では、図4に示した製品形状の場合、ゲート位置は左右どちら側に設定したらよいでしょうか。

 左側にゲートを設定した場合、樹脂は左から右へと流れ、穴の手前で左右に分かれて、穴の向こう側で合流します。つまり、穴の右側にウェルドラインが発生し、すぐ近くの製品端面(製品の右端)とつながってしまいます(図5【上】)。

 一方、右側にゲートを設定した場合、樹脂の流れは左側にゲートを設定したときと同じような流れ方になりますが、ウェルドラインの発生位置は穴の左側となり、製品端面(製品の左端)とは距離があるため、つながりません(図5【下】)。

【上】穴から遠い端面から樹脂を流した場合/【下】穴に近い端面から樹脂を流した場合
図5 【上】穴から遠い端面から樹脂を流した場合/【下】穴に近い端面から樹脂を流した場合 [クリックで拡大]

 繰り返しになりますが、ウェルドラインが発生する場所は、製品の強度を著しく低下させます。では、ウェルドラインが製品端面につながっている場合(図5【上】)と、つながっていない場合(図5【下】)とでは、どちらの強度が弱いでしょうか。言うまでもなく、製品端部にウェルドラインがつながっている方(図5【上】)が弱くなります。

 このように、ゲートの位置を変えることによって、ウェルドラインの発生場所を調整することが可能です。図4のような製品形状の場合、図5【下】で示したゲート位置から樹脂を流入することで強度をもたせることができます。また、外観を重視した製品を成形する場合にも、ゲート位置を調整することで、見えない部分にウェルドラインを出すといった対応が可能です。

 冒頭の【相談内容】についても同様です。ゲートの位置を変えることでウェルドラインの発生場所を調整し、強度をもたせるといった対策が考えられます。

 ウェルドラインを調整する際に必要となるのは“ゲート位置の設定”であるため、厳密にいえば、これは製品設計ではなく“金型設計の範ちゅう”となります。しかし、製品設計者も知識として理解を深めておくことで、金型を考慮した提案や設計が可能となります。ここはぜひ押さえておきましょう!

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