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「部品を作る」といっても単純ではない!? パーツ製作で知っておくべきポイントアイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(5)(2/4 ページ)

自分のアイデアを具現化し、それを製品として世に送り出すために必要なことは何か。素晴らしいアイデアや技術力だけではなし得ない、「製品化」を実現するための知識やスキル、視点について詳しく解説する。第5回のテーマは「部品の製作」だ。手作り試作部品と量産部品の違い、それらを製作する部品メーカーの違いについて解説する。

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部品を発注する際のポイント

 部品を発注するには、直接部品メーカーに発注する方法と、商社や最近よく見られるマッチング会社を経由して発注する方法がある。

 「部品メーカーを選定する方法が分からない」「部品数が多くて自社で各部品メーカーを管理するのが難しい」といった状況であれば、商社やマッチング会社を経由して発注するとよいだろう。ただし、部品コストにはマージンが加算される。例えば、部品メーカーとの技術的なやりとりに(スキル面で)不安がある場合や、あまり部品コストに厳しくない手作り部品を製作する場合などは、マッチング会社を活用したい。

 だが、部品コストに厳しい量産部品の発注には適さない。また、量産部品の製作過程では、部品形状や品質に関して部品メーカーと多くのやりとりが発生し、取り決めが必要になるため、マッチング会社を使用する場合は、部品メーカーと直接対話できるかどうかを事前に確認しておきたい。商社の場合は、部品メーカーの選定やその管理の手間を省け、部品メーカーと直接コンタクトできることがほとんどだ。また、マッチング会社よりもマージンが少ないため量産時に活用しやすい傾向にある。

 手作り部品までは製作できたが、スキルや人的リソースが足りず、量産部品の製作とその後の製品の組み立てが困難な場合には、手作り部品までの設計データを全て渡して、量産までをOEMメーカーに委託する方法もある。また、製品仕様だけ渡して、手作り部品の製作から量産までを委託するODMという手もある。

 いずれの場合も、委託元(発注側)から特別な指定がない限り、OEM/ODMメーカーと取引のある部品メーカーに発注される。OEM/ODMは、とても便利である半面、コストと品質がOEM/ODMメーカーに完全に委ねられてしまうため注意が必要だ。例えば、コストダウンを行ったとしても、委託元の当初想定していたコストまで下がらない場合がある。委託元に単品の部品コストなどの詳細まで知らされないことがあるからだ。

 そうなると、OEM/ODMメーカーとのコスト交渉になるわけだが、中国をはじめとする海外のOEM/ODMメーカーであった場合、その交渉は困難を極める。コストの詳細を知らされていない上に言葉の問題もあり、メールや電話だけでの交渉は難しいだろう。万一、品質的な問題が発生した場合も、部品メーカーと直接話し合うことができず、OEM/ODMメーカー経由での情報収集となり、その原因究明には時間がかかる。このようなデメリットがあることも十分に理解しておくべきだ。

部品発注にはさまざまな方法がある
図3 部品発注にはさまざまな方法がある [クリックで拡大]

 また、板金部品に塗装や印刷、埋込ナットなどがあった場合は、塗装メーカーなどを別途探す必要はなく、板金メーカーを全ての窓口にすればよい。板金メーカーは自社でできない工程や加工があれば、2次メーカーを探して、依頼された仕様の部品に仕上げる。もちろん、事前に確認は必要だ。もし、既に塗装メーカーと付き合いがあるのであれば、あらかじめ指定してもよい。日本の町工場はとても優秀で、部品メーカー同士の連携がよくとれており、製作の過程で複数メーカーがどう関わっているか知らなくても、問題なく部品は完成する。

 しかし、中国をはじめとする海外が相手だとそうはいかない。依頼した部品メーカーのみとコンタクトし、2次メーカーの存在を知らずにいると、気付かないうちに塗装メーカーが変更になり、塗装品質が変わってしまうといったことが起こり得る。海外で部品を製作する場合は、依頼した部品メーカーが2次メーカーを使用するか否か、使用するならばその2次メーカーの名前を確認したり、できれば訪問したりすることをオススメする。

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