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「部品を作る」といっても単純ではない!? パーツ製作で知っておくべきポイントアイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(5)(1/4 ページ)

自分のアイデアを具現化し、それを製品として世に送り出すために必要なことは何か。素晴らしいアイデアや技術力だけではなし得ない、「製品化」を実現するための知識やスキル、視点について詳しく解説する。第5回のテーマは「部品の製作」だ。手作り試作部品と量産部品の違い、それらを製作する部品メーカーの違いについて解説する。

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 前回は、部品の3Dデータと2Dデータを作成するところまでを解説した。今回は、それらデータを用いて実際に部品を製作する方法をお伝えする。

 量産前に製作する試作用の部品には、大きく分けて2種類ある(図1)。1つは、量産試作の前に製作する「手作り試作部品」(以下、手作り部品)、もう1つは、量産部品と同等の部品で製作する「量産試作部品」である。この量産試作部品に何回かの修正を加え、最終的な「量産部品」に仕立てる。

手作り試作と量産試作
図1 手作り試作と量産試作 [クリックで拡大]

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「手作り部品」と「量産部品」の違い

 手作り部品の製作は、その名前の通り“手作り”で行われ、数個から100個程度の数を1回きりで作る。最終的な量産部品ではないため、ほぼどのような形状でも製作できてしまう。一方、量産部品は量産されることを想定した部品だ。ここでいう量産とは、受注した個数を“定期的に、一定の品質で”製造し続けることである。よって、それを考慮した設計が必要となる。

 手作り部品の設計は、当然ながらそれが最終的に量産部品になることを想定して行うものであるが、手作り部品ならではの形状が含まれることがある。そうした形状は、量産試作部品の設計段階で形状変更することになるが、それはやむを得ない。

 図2は樹脂部品の例だ。これを金型で量産する場合、左側の形状のように壁面を垂直にすることはできず、最低1度のテーパ(傾斜)が必要となるが、手作り部品では加工性やコストの観点から右側の形状で設計される。後述する“貼り合わせ”で手作り部品を製作した場合にこのような形状になる。

量産部品ならではの形状(左)と、手作り部品ならではの形状(右)
図2 量産部品ならではの形状(左)と、手作り部品ならではの形状(右) [クリックで拡大]

「手作り」と「量産」で手掛ける部品メーカーは異なる

 次に、手作り部品と量産部品で手掛けるメーカーが異なる点について、樹脂部品と板金部品を例に説明する。

樹脂部品の場合

 樹脂部品は“手作り”と“量産”とで、部品メーカーが明確に分かれる。手作りの場合は「切削」「貼り合わせ」「注型」「3Dプリンタ」などで部品を製作する。切削は、樹脂の塊を切削加工機で加工する。貼り合わせは、樹脂の板をカットして接着剤で貼り合わせる。これは切削と組み合わせる場合が多い。注型は、切削と貼り合わせで製作した部品からシリコーンの型を作製し、そのシリコーン型に樹脂を流し込んで固めて部品を製作する。1個のシリコーン型から10〜20個の部品を製作できる。3Dプリンタは、熱で溶かした樹脂を積層して部品を作る。現在は、さまざまな積層方式の3Dプリンタが安価で販売されている。

 いずれの方法においても、手作り部品の製作で使用される樹脂の材質はある程度限定されるため、物性や法規制などから決定する量産部品と同じ材質では作れない場合がほとんどだ。さらに、1個の部品を作るのに時間がかかるため、量産には適さない。よって、量産部品メーカーは金型を製作し、材質を限定せず成形機で量産部品を作る。

板金部品の場合

 一方、板金部品の場合は手作り部品のメーカーであっても、量産する数が少なければ量産部品を手掛けることも可能だ。なぜなら、板金部品は手作り部品でも量産部品と同じ材質を使用できるからだ。従って、量産時に1度で生産する個数(ロット)に応じて、手作り部品メーカーにするか、量産部品メーカーにするかを選択する。

 手作り部品メーカーは、タレパン加工機やレーザー加工機で板金をカットし、その後ベンディングマシンで曲げて形状を作る。量産部品メーカーは、金型を製作してプレス成形機で形状を作る。板金部品にも金型を考慮した形状があるため、手作りと量産の両方の装置を保有する部品メーカーに発注すれば、手作り部品の設計段階で金型を考慮した形状のアドバイスをもらうことができる。

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