さまざまな製造IoTデータを容易に連携、CIOFが2022年に商用化へ:IVI公開シンポジウム2021春(2)(1/2 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2021年3月11〜12日、オンラインで「IVI公開シンポジウム2021-Spring-」を開催した。今回はその中から、IVIが取り組む異種環境間でのデータ連携を実現する「企業間オープン連携フレームワーク」への取り組みについて紹介する。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2021年3月11〜12日、オンラインで「IVI公開シンポジウム2021-Spring-」を開催した。今回はその中から、IVIが中心となって取り組む、異種環境間でのデータ連携を実現する「企業間オープン連携フレームワーク」について紹介する。
異種環境間のデータ連携を容易にする「CIOF」
IVIが取り組む同事業は、日本政府が提唱する「Society5.0」および「コネクテッドインダストリーズ」を実現する取り組みである「製造プラットフォームオープン連携事業」として、産業データ共有促進事業費(平成29年度補正予算)補助金を経済産業省から受けて実施したものだ。「コネクテッドインダストリーズオープンフレームワーク(CIOF)」と名付けられ、2020年度はさまざまな実証が行われてきた。
プロジェクトメンバーとしては、エッジではDMG森精機、ジェイテクト、三菱電機、安川電機の4社、アプリケーションではSCSK、ビジネスエンジニアリングの2社、プラットフォーム開発では、アプストウェブが参加している。
スマート工場化などを含め、工場など製造業の各業務におけるデータ活用の機会は増えているが、さまざまなデータフォーマットやデータ活用基盤が乱立する状況が生まれている。これらの散在するデータを連携させるためには、それぞれでAPI(Application Programming Interface)を開発するなどの負担が発生する。「CIOF」はこれらの課題を解決するために、既存のプラットフォーム内のシステムやデータ設定などを大きく改変することなく、容易にデータ連携を実現するための仕組みである。2018年12月に仕様公開され、2019年3月に第1版が正式公開されている。
「CIOF」の特徴が、「辞書」「契約」「認証」という3つの仕組みを組み合わせて実現していることだ。さまざまな個別環境における情報をデータで表現するための「辞書」を用意し、個別の環境で使用できるように“翻訳”して使用。「共通辞書」と「個別辞書」を持つことで、データ連携が行える一方で、それぞれの環境における最適な形でデータを活用できる仕組みとしている。
また、同時に複数の事業主体がデータ取引に関与する際に必要な契約の実効性を確保するための利用監視を行う意味での「契約」機能や、データ取引についてのアセットのIDを管理する「認証」機能を備え、データ活用までの仕組みをまとめて用意していることが特徴である。
IVIではこれらのデータ連携を行う統括サーバや辞書サーバなどの枠組みを提供するとともに、パートナーを通じてデータ送信をするエッジ側に搭載するIVIコンポーネントの用意などを進めている。
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