デンソーは通期予想を上方修正、車載半導体の供給は「2021年夏に改善」:製造マネジメントニュース
デンソーは2021年2月2日、2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月期)の決算を発表した。売上収益は前年同期比9.9%減の3兆5086億円、営業利益は同59.0%減の666億円、当期利益は同68.4%減の431億円となった。
デンソーは2021年2月2日、2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月期)の決算を発表した。売上収益は前年同期比9.9%減の3兆5086億円、営業利益は同59.0%減の666億円、当期利益は同68.4%減の431億円となった。前年を大幅に下回っているのは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による2020年4〜6月期の減収減益の影響が大きかったことが要因だ。ただ、2020年10〜12月期の3カ月間としては、取引先である複数の自動車メーカーで前年超えの売り上げとなり前年同期比では増収増益を達成した。
足元の好調さを反映し、通期の業績予想は売上収益が2000億円増の4兆7400億円(前期比8.0%減)、営業利益が500億円増の1500億円(同145.6%増)、当期利益が370億円増の1120億円(前期比64.5%増)に上方修正した。前期は品質費用2220億円がマイナス要因となって大幅な減益となっていたこともあり、通期では増益となる見通しだ。設備投資や研究開発費は当初の計画を据え置いた。投資をゆるめない分野はあるものの、規律を持って効率的に投入していく。
四半期ごとの営業損益を見てみると、2020年4〜6月期で1066億円の赤字、同4〜9月期で696億円の赤字だったが、同4〜12月期で黒字転換を果たした。操業度差損の縮小の他、以前から取り組んできた経費の抑制、労務費や償却費の増加をカバーする合理化、体質改善の取り組みが貢献した。体質改善としては、事務系と技術系の両方へのデジタル化投資、出張や展示会の合理化、ソフトウェア開発の効率化や自動化、製品の工程標準化などの取り組みを推進した。研究開発はリモートワークの状況下でも順調だとしている。COVID-19の影響や2020年の品質費用、為替差損を除いた営業利益は3216億円だった。
所在地別の収益は、全ての地域で新車販売が回復したことにより前年の9割程度まで改善した。各地域とも想定よりも上振れして推移しており、当初の見通しよりも日本と中国が15%ほど、アジアや欧州、北米は10%程度上回った。取引先別に収益を見ても、トヨタ自動車をはじめ、ダイハツ工業、ホンダ、ボルボ(Volvo Cars)、前年にストライキで生産が停止したGM(General Motors)などが第3四半期としては前年を超えて推移した。
新車生産に影響を及ぼしている半導体の供給不足については、これまでに震災などを受けてBCPでリスク在庫を確保してきたこともあり、直ちに在庫が切れることはないという。半導体メーカーと協力しながら供給改善に向けた取り組みを進めており、2021年夏には増強した生産能力が需要に追い付いて需給の逼迫(ひっぱく)がゆるむ見通しだ。
政情不安のミャンマーの拠点に関しては、2月1日時点で全ての従業員の安全を確認した。操業は一時停止しているが、仕入れ先や自動車メーカーと協議しながら従業員の安全第一に事業活動を行う。
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