早大発ベンチャーが産業用ロボット向け3次元カメラを開発「高速高精度で安価」:産業用ロボット(1/2 ページ)
早稲田大学発ベンチャーの東京ロボティクスが産業用ロボット向けのセンサー事業に進出する。第1弾製品となる3次元カメラ「Torobo Eye」の「SL40」は、産業用ロボットの先端に取り付けられるサイズで、計測速度が業界最速クラスの10fps、奥行き計測のバラツキ誤差が±0.06mmの性能を実現。販売価格は100万〜130万円を想定している。
早稲田大学発ベンチャーの東京ロボティクスは2021年1月15日、東京都内で会見を開き、産業用ロボット向けのセンサー事業に進出すると発表した。第1弾製品となる3次元カメラ「Torobo Eye『SL40』(以下、SL40)」の受注を同日から、同年2月下旬から販売を開始する。SL40は産業用ロボットの先端に取り付けられるサイズで、計測速度が業界最速クラスの10fps、奥行き計測のバラツキ誤差が0.06mmの性能を持つ。販売価格は、同性能の3次元カメラとして安価な100万〜130万円を想定している。販売目標台数は初年度が50台、次年度以降に100台以上を目指す。
今回発表したSL40は、縞模様などのあらかじめ設計されたパターンを照射して、パターンのひずみを検出することで計測対象の奥行きを計測する「Structured Light方式」を用いた3次元カメラだ。カメラヘッドとコントローラーの2つのユニットから構成されており、カメラヘッドは外形寸法が92×75.5×95mmでと手のひらサイズで、重量は460g。小型軽量なので産業用ロボットの先端に容易に取り付けられる。
計測速度は高速モードで10fpsと3次元カメラとしては高速であり、奥行き計測の誤差も0.06mmと高精度を実現した。また、3次元カメラと同軸でカラー画像を撮影することによりAI(人工知能)アルゴリズムとの連携も容易に行える。東京ロボティクス 代表取締役の坂本義弘氏は「SL40は、欧州企業などの3次元カメラと同等クラスの性能を実現する一方で、高性能3次元カメラとしては安価な100万〜130万円という価格で提供する」と強調する。
計測範囲は平面方向(XY)が370×210mm(計測対象とSL40の距離が450mmの場合の有効範囲)、奥行き方向(Z)については450±150mmを推奨範囲としている。解像度は1440×1080ピクセル。取得データは3D点群データの他、奥行きデータを持ったデプス画像、カラー画像の3種類で、3D点群データにデプス画像、カラー画像を組み合わせた表示も行える。照射する投光パターンの色は白だけでなく、赤、緑、青に変更することで、色付き製品の計測も行いやすくなっている。
コントローラーとイーサネットで接続するホスト側のPCはUbuntuとWindowsに対応する。ホストPC向けのカメラ操作ソフトウェアが付属するとともに、C++、PythonのAPIライブラリを利用できるSDK(ソフトウェア開発キット)も提供する。大学や研究機関をはじめロボット開発に広く利用されているROSとの連携が可能なパッケージも用意した。
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